第3話 今後
二人で汗を流したあと、小腹が空いたため宿の一階にある食事処で俺とユーリは向かい合っている。
「……」
追放した側された側、そして事後ということもあり、沈黙が続く。
よく考えなくても意味のわからない関係だな。
しかし、俺には聞いておかなければならないことがある。
「……あのさ(ねえ)」
意を決して口を開けばユーリも同時に言葉を発する。
「先に言ってくれ」
「いや、君の方からどうぞ」
いいのか? と視線を送ると、ユーリは顔を赤くしてぷい、とそっぽを向いた。
「……俺の追放に関して、パーティ全員が追放を止めなかったよな。それはユーリが根回ししてたからなのか?」
追放したユーリの真意は襲われる前に聞いた。だが、残りの二人はどう思っているのか。
「二人がもし俺が相応しくないと感じて追放を受け入れたのなら、お前の意図は関係なく俺はパーティを抜けるわ」
ローラ、アリスが俺のことをパーティに必要ないと思うなら、俺は残るべきじゃない。
平時ならなんともないかもしれないが、危機的状況のとき適切な判断ができなくなるかもしれない。
二人がそうすると思っているわけではないが、いざという時切り捨てられるリスクもあるだろうしな。
「そんなっ、二人とも君のことを悪くなんて……いや、でも……」
ユーリがなにか考える素振りを見せる。
「もし、二人がそう思ってたなら、僕も一緒にパーティを抜けるよ」
食事処にきて初めて目があった。
その目はどろりとしてまとわりつくような深さをしていたような気がした。
「気持ちは嬉しいけど、そんなことを望んでるわけじゃ……」
パーティにも配慮して抜ける判断をしているのに、リーダーが抜けたらそもそもパーティ崩壊して、それも意味なくなるんじゃないか?
「そんなこと? ……そうだね、すごく不服だけど、君にとってはまだその程度にしか僕の存在は大きくないんだ……」
「……ん?」
独り言のようにボソボソと呟くため、あまり聞き取れない。
「あぁいや、なんでもない。でも、そのくらいの責任はあるはずだよ。僕の私情が追放の直接的な原因なんだ。その責任を取るのは順当じゃないかな?」
「それを言われると口出しはできないが……」
「じゃあ、もし二人が抜けることになったら、僕たち二人でまたパーティを組もうっ! そして一から新しくやり直そう!」
頬を好調させて、嬉しそうに告げるユーリ。
「っ……ま、まあ、いったん二人の考えを聞いてからだな」
いつもの頼りになる雰囲気とは違い、捕まったら逃れられなさそうな捕食者のように感じる。
俺は本能的に発言を濁し、テーブルにある飯を口に運んだ。
冒険者パーティを追放すると言われたので承諾したら襲われました ACSO @yukinkochan05
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