『閉所恐怖症の単3電池』

やましん(テンパー)

『閉所恐怖症の単3電池』

 『これは、ナンセンスコメディです。』




 みなさん。ぼくは、単3電池の、デンチーです。


 ぼ、ぼくは、閉所恐怖症で、極端な心配性です。


 だから、せまい、電池ボックスなどに、きっちり収まってはいられません。


 すぐに、飛び出してしまうのです。


 その日も、そんなこととは知らないやましんさんが、ふるーい、トランジスターラジオに、ぼくを押し込もうとしました。


 同じ単3電池でも、50年もむかしだと、微妙にサイズの違いがあるらしく、なかなか、ぴたりと填まらないので、やましんさんが、力一杯、ぼくを、押し込もうとしました。



 チャンス❗ チャンス! ャンス!



 ぼくは、飛び出ました。


 そうして、たまたま、隙間が空いていた窓から、転がり出たのです。


 そこに、やましんさんを偵察していた、スパイからすのカージンゴが飛んできて、ぼくをくわえて、基地に飛んで行きました。


 基地には、沢山の、カラスさんや、はとさん、とんびさん、つばめさん、たぬきさん、ごきさん、などがいまして、さかんに、コンピュータをいじったり、射撃練習したりしていました。


 カージンゴさんが、言いました。


 『きみは、でんち質だ。やましんに、挑戦状を出す。こうだ。』


    ↓


 『はいけい、やましん。元気かー。きみのデンチーくんは、こちらが預かったかー。返してほしければ、明日、夜中の2時に、きみんちの裏の公園にこーい。一騎討ちしよう。きみが勝ったら、デンチーくんは、返そう。おいらが勝ったら、デンチーくんは、いただく。どうだ、ふふふふふ。』


 ぼくは、言いました。


 『ここにいたら、なにをされるんですか?』


 『なに、そのあたりに、居るだけだ。でんちの役には立たない。かかかかかかかあ〰️〰️〰️〰️。いずれ、さびて、からからになるだけかー。』


 ぼくは、震え上がりました。


 電池にとって、それは、屈辱的な最後なのです。


 挑戦状は、はとさぶろのおとうとの、はとしろ、が届けました。


 すると、やましんさんが、返事を書いてよこしました。


 『でんちは、差し上げます。使ってやってください。やましんは、病気がちです。ほっといてくらさい。みなさまのご健康を祈ります。』


 カージンゴは、怒りました。


 『なんだかあ〰️〰️〰️〰️。やましん、まるで、使用者責任感がないかあ〰️〰️。最近、まったく、元気ないか〰️〰️〰️〰️。みていろ、あたまつつきに行くからな。かつ入れてやるか〰️〰️😃』


 カージンゴは、仲間を集めて、やましん襲撃の計画を練りだしました。


 まずいです。やましんさんは、年です。カージンゴたちにまとめて襲われたら、ひとたまりもありません。


 やましんさん、危うし❗


 しかし、やましんさんは、スパイはと、親やましん派の、はとさぶろさんに、相談をしていました。


 翌朝早く、カージンゴさんたちがうがいをからからしている間に、はとさぶろさんは、ぼくを救いだし、やましんさんちに返してくれました。


 『やあ。帰ってきたか。疲れたろう。しばらく、箱のなかでやすみたまえよ。』



 しかし、ぼくは、2度と取り出されることが、なかったのです。



       🙏



         おしまい









 


 


 


 


 


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『閉所恐怖症の単3電池』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る