第4話 その王子は旅立つ


護衛が決まり、ファルアール国を旅立つ日が決まった。そのため、アルバートはファルアール国を出発する支度をはじめた。1人だけで支度をするのではなく、サラッドも一緒に支度をする。


護衛のサラッドは、アルバートも頼りにしている人物だ。サラッドは、騎士の中で一番誠実であり、アルバートとヴィールの仲を応援してくれている。そのため、アルバートはサラッドと一緒に旅に出る事に若干ワクワクしているが、ヴィールが心配な気持ちの方が強い。そのため、ヘイタグッソの王子を許さないと思っている。


サラッドと一緒にファルアール国を出発する準備があとちょっとで終了すると言う時だった。アルバートの部屋の扉がノックされたのだった。



「サラッド、準備していて。僕が出るから」


「承知しました」


ガチャッ


「はい」


「アルバート様、お疲れ様でーす。本当に旅立つんですか?」


「ティアラ嬢、私はヴィールを助けに行くけど?」


「そんなにすごまなくても、いいじゃないですか?お姉様はもうさらわれてしまったのだから、私を婚約者にするのはありだと思いますよ?」


「……」



部屋の前でアルバートと話すのは、ティアラだ。ティアラは、ヴィールの妹だが、ヴィールの事が好きではない。


なぜなら、ティアラは名前がヴィールと比べて、可愛いため、親以外の貴族に可愛がられてきた。しかし、親はティアラとヴィールを平等に可愛がる。ティアラはそれを面白くないと思っていた。


そして、ある時うわさがたった。そのうわさとは、「ヴィールとティアラは、ティアラの方が良い名前ではないか」といううわさがではじめた。


このうわさがではじめてから、ティアラは「このうわさは使えるのではないか」、そう思うようになってきた。アルバートの婚約者候補として、邪魔する者は家族であろうと良くない。その考えになってしまったティアラは、早速うわさを広めようとした。その結果、うわさが広まり、ヴィールの事が嫌いな貴族が出てきた。


そのため、ヴィールはティアラを中心に1部の貴族にいじめられている。その事を全て知っているアルバートは、ティアラの事が大嫌いだった。



「ティアラ嬢、私はヴィールを愛しているから、ヴィールを迎えに行くよ」


「えっ」


「私は、ヴィールの事がどうしようもなく好きなんだ。ヴィールを必ず助けに行くよ。帰ってきたら君ともお話しないといけないけどね」


「お、お話って……?」


「君がヴィールをいじめている話」


「っ!」


「アルバート様、私は準備出来ました。行きましょう」


「じゃあサラッド、行こうか。……ティアラ嬢は、帰ってきたら何かあると思っていて」



こうして、アルバートとサラッドは、ファルアール国を旅立った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

その恋ははちみつ色 月桜 兎 @784136

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ