第3話 その王子は姫を助けに行く
大国ヘイタグッソ。その国では、ファルアールの隣の国だが、ファルアールとは違い、国民達は苦しんでいる。なぜなら、ヘイタグッソの国王が、お金を必要な事にはあまり使わず、ぜいたく品にお金を使う。そのため、川を渡るための橋はボロボロ、道はレンガで整備されず石だらけ、お医者さんは数が少ない、などの問題点がある。
しかし、ヘイタグッソの国王は、そんなことを気にしたことはない。なぜなら、ヘイタグッソの国王は、国民の様子を見に行ったことが無いため、現状を知らないのだ。そのため、絵画や、彫刻などにお金を使い、国民からはお金を搾り取っている。そのため、ヘイタグッソは国民達の国王に対する不満が強い。
そんな国の王子である、ヴィルギスは、アルバートの婚約者である、ヴィールを前に開催されたファルアール国のパーティーに参加した。その時に、ヴィルギスはヴィールに一目ぼれした。しかし、その時から、ヴィールはアルバートの婚約者候補であり、ヴィールは、ヴィルギスに興味が無かった。それでも、ヴィルギスはあきらめなかった。たとえ、道がどんなに険しいものだったとしても、必ずヴィールを手に入れようとした。
その一か月後、アルバートの誕生日パーティーが二か月後にある事を知り、そこには、ヴィールが出るであろうと踏んだヴィルギスは、そのパーティーに乱入するための作戦を考えた。
そして、ファルアールの騎士、テイルが討伐し損ねた鳥を拾い、この鳥を使って、ヴィールをさらった。と言う話を、ヴィールはヴィルギスから聞いた。
「と言うわけで、俺の婚約者にならない?」
「お断りするわ。あなた、婚約者がいるのでしょう?その人を裏切るような真似していいと思っているの?」
「意見は変わらないか……」
「当たり前よ。人を誘拐しておいて、『はい、そうですね』なんてうなずかないわよ」
「じゃあ、俺の婚約者になるって言ったら、ここから出してあげるよ」
「そう。その場合でも、うなずかないけどね」
そんな攻防を繰り広げている中、ファルアール国では、 ヴィールを探しに行くとアルバートが国王と女王を説得している最中だった。
「アルバート、気持ちは分かるが、落ち着きなさい。大体、場所が分かっていないのに、どうやって行くつもりなんだ」
「父上も母上も、ヴィールが僕の事見つけるのがうまいって思っているの?僕たちはお互いの大体の居場所が分かる石をつけているから、場所は分かるよ」
「アルバート、それは貴重な石なのよ。なくさないでほしいわ。アルバートにとって大事な人なのは分かるけどね、あまり焦ってヴィールさんが人質にされたらどうするのよ」
「それは……」
「アルバート、ここは私たちに任せてもらえないだろうか?ヴィールさんを助けたい気持ちは私達も同じだから」
「でも、ヘイタグッソの事だ。きっと遅くなれば遅くなるほど、ヴィールが危険な目に合う。僕も探しに行くよ」
「このままでは平行線だな……。護衛をつけるなら、助けに行ってもいい。護衛をつけないなら、この話は無かったことにしよう」
「……!ありがとうございます、父上、母上」
「じゃあ、護衛は……」
「テイル以外でお願いします」
「なんで、テイル以外なんだ?」
「テイルは、あの日、鳥がやってきたとき、僕以外見ていませんでしたが、がくがくと震えていたので、多分テイルが討伐を失敗した個体なのではないかと」
「ふむ……確かに、テイルにはあの種類の鳥の討伐を頼んでいたな……。こちらの方で調べておく。あと、護衛は、サラッドに任せるでいいか?」
「はい!」
こうして、アルバートは、ファルアールを飛び出した。
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