第7話 君は小説仲間が足りない

「そ、そうなの!? お、弟が小説書いてたなんて奇跡が……!!」


「お! お姉ちゃん、ようやく元気になったね!」


「え、えへへ……なんか嬉しくて、つい……こんな身近に小説書いてる人がいるって……中々ないからさ」


「それじゃあさ! お姉ちゃんに小説が読まれる方法を教えてほしいんだよね! ねっ! お兄ちゃん!」


「わ、私に?」


「そうだよ! お姉ちゃん以外いないでしょ!」


(妹がそのまま部屋の出入り口の扉に手をかける音)


「それじゃあ、2人ゆっくり話してて! お茶持ってきてあげる!」


「待っでぇ゙ええええ! 男の人と二人っきりにしないでええええ!」


「ちょっとお姉ちゃん!? 何言ってるの! 男の人ってお兄ちゃんは姉弟でしょ!」


「い、いいいい異性と話すのが、ひひひひ久しぶり過ぎて、お、弟でもきききき緊張しちゃって……力が抜けて……」


「もう、腰にまとわりつかないでよ! 大丈夫! お兄ちゃんはお姉ちゃんの苦手な男の人じゃなくて弟! お姉ちゃんより年下の子供! お姉ちゃんの方が偉いの! わかる?」


「弟……お兄ちゃんは弟……弟……弟……私より年下で……子供の……」


「そうそう! ちゃんと自己暗示かけて! それじゃあ取ってくるね!」


(姉が振り払われてドアが閉められる)


「あ……」


(部屋が静まりかえる。しばらく無言が続く)


「え、えっと……久しぶり……だね。ちゃんと、話すの……」


(頷くために服が擦れる音)


「ご、ごめんね……別に君のことが嫌いとかじゃなくて……」


「男の人を見ると……緊張するようになっちゃってさ……お、弟なのに変だよね」


「ちょっと……前に就職した会社で……嫌なことあってから……人と会うのが嫌になっちゃってさ……」


「ずっと……皆に迷惑かけて……私、わたしぃ……家族に合わせる顔がなぐでぇ……」


(近くにあったティッシュを3枚ぐらい取って渡す)


「うぅ……ティッシュありがとう……」


(姉は涙を拭い鼻も盛大にかむ)


「あ゙ぁ゙……ごめん。つい、泣いちゃって……ダメなお姉ちゃんでごめんね……」


「……無理しないでって……うぅ、ありがとう! 優しい弟がいて私、嬉しいよぉ!」


(姉は涙を拭いて、また鼻も盛大にかむ)


「う、うん……落ち着てきた。えっと……そ、そうだ! しょ、小説書いてるんだよね?」


「……全然、読まれないからどうやって読んでもらえるか教えてほしい?」


「う、うん! わかった! お姉ちゃんにまかせて! かわいい弟のために頑張るよ!」


「うん! 私、退職して無職になった時に小説をWEBのコンテストに出したのが選考通過して、書籍したよ!」


「その後もエッセイとか、さっき言った原案とかの依頼に広告文の作成依頼とか……いわゆるフリーランスで頑張ってたんだ!」


「だ、だから、ゴミクズみたいな私でも小説は……ちょっと自信あるんだ! ま、まかせて!」


「え、えっとじゃあ……どういうのを書いてるか見せてもらって……いいかな?」


(ポケットからスマホを取り出す、布が擦れる音)


「えっと……投稿作品のジャンルは……SF」


「ああ……うん、読まれない原因はわかったかも。SFはWEB小説だと読まれないよ……」

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