第4話 君は宣伝が少ない
(次の日の夜の自室。カタカタとパソコンの前で座り執筆活動をしていると、勢いよくドアが開く)
「お兄ちゃん起きてる! 小説読まれる良い方法を思いついたよ!」
(小走りで近寄り後ろから抱きつかれ椅子が軋む音がなる)
「まずはお兄ちゃんの読まれてるかチェーック! それじゃあインタビューします! 今日は小説読まれましたか!」
「……だよねー! まだ読まれてないよね! 良かった!」
「え!? 違う違う! 読まれてないことをバカにしにきたわけじゃないってば!」
「せっかく良い方法を思いついたのに、上手くいっちゃったらアタシのアイディアがもったいないでしょ!」
「ふふーん♪ 今日は自信あるアイディアなんだ! 絶対お兄ちゃんの小説も読まれるようになると思うよ!」
「聞きたい? ねぇ聞きたい? 聞きたいでしょ!」
「え!? じゃあ聞きたくない!?」
「ウソウソ! そうやってヘソ曲げたこと言ってるからお兄ちゃんモテないんだよ」
「……それとこれとは関係ない? 本当かな〜? お兄ちゃんの人生を振り返ってみなよ。好きな子に優しくされた時に、カッコつけて冷たい態度をしたりしたことあるんじゃない? あれって別に格好良くないし、他の人からみたら暗い奴って思われちゃうんだよ? 知ってた?」
(過去の痛い思い出がフラッシュバックし、自分の頭を押さえて悶える為、ジタバタと音が響く)
「うわあっ!? お兄ちゃんどうしたの!? 過去の自分を思い出して頭痛くなっちゃったの!?」
「もう、ごめんってば! ちょっとお兄ちゃんのことイジメ過ぎちゃった。今度はちゃんと優しくしてあげるから、もう床でブレイクダンスしながら回るのはやめて! 近所迷惑でしょ!」
(ジタバタが収まり、妹の溜め息が聞こえる)
「お兄ちゃん落ち着いた? え? パンツ見えてる? そんないつも見てるんだからどうでもいいよ! ヘンタイ!」
「そんなことよりも! SNSだよ、SNS! ツイッターとテックトックでお兄ちゃんの小説を宣伝するんだよ!」
「お兄ちゃんツイッターって知ってる? 皆が一言を呟いて、バズったりして遊んでる場所なんだけど……あ、名前ぐらいは知ってた?」
「そのツイッターでお兄ちゃんの小説を宣伝すればいいんだよ! 良い考えでしょ!」
「そう言えばお兄ちゃん、ツイッターとかやってるの?」
「……ああ〜、やっぱり面倒くさいからってやってなかったんでしょ!」
(妹が話しながら裸足でペタペタと床を歩く)
「やっぱり今の世の中って、宣伝が1番大事だからさ。そういうことやらないと、どの世界も生き残っていけないと思うんだよね」
(妹が立ち止まる)
「それじゃあ、さっそくSNSで宣伝しよう! お兄ちゃんアカウント持ってる? 作ってないなら私も手伝うよ!」
「ヘッヘッヘーン! 何を隠そう私のフォロワー数は2000! 将来インフルエンサーになるのが目標なんだ! だからSNSの事ならアタシにまかせてよお兄ちゃん!」
(キーボードと妹に指示する声が室内でする。妹に指示されながらパソコンでアカウントを作成。使用するSNSの仕様やフォローしたり相手に挨拶したりと妹がゴチャゴチャと教えてくる)
「ふぅー……とりあえず、フォロワーはちょっと増えたね! 初日だからこんなもんでしょ!」
「あ! アタシもお兄ちゃんのアカウントをフォローしーちゃお! 面倒くさがらないちゃんと何か呟かないとダメだよ。そしてやり方も教えたんだから宣伝もしてね!」
「へぇ!? あ、ありがとう!?」
「お兄ちゃんがアタシにお礼を言うなんて……そうとう切羽詰まってたんだね」
「……よし! ここまできたら、お兄ちゃんの小説がバズるまで応援するよ!」
「それじゃあ一緒に頑張ろうね! お兄ちゃん!」
「おー!」
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