第2話 君は点数が上がらない
(次の日の夜。自室のパソコンに向かいキーボードを打つ。突然肩から腕を回され椅子がきしむ音がする)
「おお! 今日も小説書いてるんだ! 偉いねお兄ちゃん!」
「あ、小説読んだよ! 感想聞きたい?」
「感想はねぇ……面白かった!」
「なになに? ちょっとニヤってしてるよお兄ちゃん……ってちょっと! 顔隠さないでよ!」
「……もしかして、お兄ちゃん照れてるの? 可愛いなぁもう!」
「え? お世辞じゃないよ? お兄ちゃんの書いた小説、本当に面白かったよ」
「ちょっとからかっちゃったけど、面白かったのは本当だから自信持って良いよ! お兄ちゃん!」
「……って、うわ!? 今度は急に泣き始めてどうしたの!?」
「ええ? 全然書いた小説が評価されなくて、点数もつかないから自信なくなっちゃってたの?」
「そうなんだ……びっくりした」
「それじゃ、その評価とか点数をつけて上げるから、やり方教えてよ!」
「え、入れなくて良いって?」
「何言ってるの! お兄ちゃんが元気出すようにアタシが点数付けて上げるってば!」
「もう! 何でそんなに嫌がるの! え? 身内だから? よくわからないよ、良いから教えろおおおおお!」
「……あー、アカウント登録するんだね! それじゃするね!」
(妹がスマホを取り出し高速で会員登録する)
「……出来たよ! それじゃあどこで点数入れるの?」
「えっと……ああ! この
「ふふん、出来たよ! 満点の
「あはは! だってニヤニヤしてるじゃん! 私に入れてもらった事がそんなに嬉しかったんだ!」
「えぇ? 数ヶ月ぶりに点数が付いて嬉しかったの? そ、そうなんだ……」
「なんだか、思ってたより小説書くのって大変なんだね」
「でも、お兄ちゃんはこれからきっと伸びるんだよ!」
「小説も面白かったし、続けて書いてけばそのうち読んでくれる人も増えていって評価もいっぱいされるって!」
「今はその時じゃないんだよきっと! どんな人でも最初は上手くいかないしさ!」
「え? もう3年書いてる?」
(ちょっと焦る素振りを見せる妹)
「あ、あはは! そっか、そういうこともあるよね! 大丈夫だよ! たぶんまだ始まったばかりなんだよきっと!」
「う、うん、きっとそう! ほら、アタシ達まだ学生じゃん! 育ち盛りだからきっと小説も育ち盛りなんだよ! ね!」
「あ! 私、宿題残ってたの忘れてた! じゃあねお兄ちゃん!」
(そそくさと妹は部屋から出ていった)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます