人懐っこい妹に執筆活動を応援してもらい、時々甘えさせてもらう。そして引きこもりの姉とも……

バンブー@カクヨムコン10応援

第1話 君は小説を書いてる

(静かな夜の自室。パソコンの前でキーボードを打ち続けるが、椅子にもたれかかって手が止まってしまう)


「お兄ちゃん何やってるの?」


(部屋の中に妹がいつの間にか入っていた。君はバランスを崩して、もの凄く椅子が軋む)


「何しにきたって漫画を借りに来たんだよ! 一応声掛けたけど聞こえなかったの? 可愛いがきましたよーって」


「へへぇ〜、もしかしてお兄ちゃん……エッチなサイト見てたんでしょ!」


「隠してないでアタシにも見せてよ! ってあれ? 画面が白い」


「なーんだ、エッチなやつじゃないじゃん、つまんないの。 学校の宿題とかレポート?」


「そうだよって……あやしいなぁ~、さっきも凄い焦ってたし。隠してるだけでやっぱりエッチなサイトを」


「え? 小説? 小説を書いてたの? お兄ちゃんが?」


「ええええええ!?」


「お兄ちゃん小説書いてるの!? 凄いじゃん!」


「え? お姉ちゃんも小説書いてるじゃん、お兄ちゃん知らなかったの? そんなことより、どんなの書いてるの! お姉ちゃんはなんか……悪役……れいじょ? っていうやつを書いてて凄い人気になってるって言ってたけど、お兄ちゃんも有名人になってるの?」


「……え? 全然読まれてないの? お姉ちゃんは読まれてるのに?」


「ちょ、ちょっと泣いてるのお兄ちゃん!? ごめんって! てっきりお姉ちゃんが人気作家だからお兄ちゃんも人気だと思って……」


「大丈夫だよ! お姉ちゃんが人気なんだから、お兄ちゃんも人気になるって! だから泣かないの! ね?」


「それで、お兄ちゃんは何書いてるの? えーっと……ミステリーと、えす、えふ? SF! あーSFか!」


「わかるわかる! あれでしょ? ロボットとかに乗って宇宙で戦う奴でしょ! バキュンバキューンって!」


「違うの? さいえんすふぃくしょん?」


「科学的な……? うーん、よくわからないけど何か難しそうなやつなんだね。お兄ちゃんやっぱり頭良かったんだ」


「お兄ちゃんって、ウチの家系では珍しくどちらかと言うと理系だもんね」


「そんなことない? だって、アタシもたまーにお兄ちゃんから数学のやり方聞くじゃん。アタシは数字を見るだけ頭おかしくなっちゃうもん。そう言うところは、お兄ちゃん凄いなって思ってるよ!」


「そっか……そしたらお兄ちゃんが書いてる小説は頭が良い奴なんだね」


「それじゃあ今度読ませてよ!」


「え? 何をってお兄ちゃんの小説だよ! それじゃあ小説のタイトル教えてよカメラで撮っとくから!」


(マウスのクリック音の後、スマホのシャッター音が響く)


「オッケー、時間できたら読んどくね! お兄ちゃんの小説たのしみにしておーこお!」


「じゃあねお兄ちゃん! 明日感想言えるようにしておくね!」


「それじゃあおやすみ~!」


(自室のドアを閉める音。妹が部屋を出て行く)


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