第2話
Aが小6の頃。1匹の狼に出会った。綺麗な銀色で紅い目をしていた。Aがその狼にどれほど助けられたかは誰も知らない。少なくとも中学の時に2人の友をつくるきっかけになったと言えるだろう。
Aに友ができた。人ではない友が。
Aが中一の頃。とある少年がAに話しかけてきた。「君もそれ好きなの?」
それはAが目の前のことを見直さなければならない時に使っていた本だった。
少年は毎日話しかけてきた。
Aに赤の友人ができた。
それと同時にゲームにのめり込んだ。ゲームの友人も出来た。上っ面のゲームをする時だけ話す友人。それがどうも心地よかった。
Aが中二の頃。クラス替えがあった。幸か不幸か、赤の友人と同じクラスになった。とある少女が話しかけてきた。
「え!私もその本好きだよ!読んでる人あんまりいないよね!」
その言葉は何故かAの耳にスっと入ってきた。Aが今までの友人と仲良くなってきた時に感じた感覚が最初からその少女にはあった。
Aに白の友人ができた。
3人はいつも一緒だった。ゲームもする。本を紹介し合う。そんな3人は生徒会に入った。赤の友人が会長、Aは副会長、白の友人は書記長。
Aの学校は生徒会の枠がいつもガラ空きだった。先生には喜ばれた。いじめっ子は憎んだ。なぜなら表立っていじめることができないから。
Aは孤独ではなくなった。狼はいつの間にか消えていた。
愛せない少女、愛する少年 ラテン @Chouzuki623
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