秘密
「…ジル様。光の魔法は戦いのために使うものではございません。人を守るために使うものでございます。…興奮するとすぐに戦い、些細なことで元の言葉遣いに戻ってしまう今のジル様のご様子では、光の魔法を覚えて使いこなせるのは当分先のことになるでしょう。」
ジルは
「私たちはそれぞれもっている
「オレは
「
「…あぁ。常識が常識でなくなった。」
「
「へっ、つまんねぇ世界。」
「ジル様はその"つまらない世界"に毎日望遠鏡を向けているのですよ。不思議なものですね。」
「……確かにそうだな…変だよな。でも、スティーブがたくさん教えてくれた
ジルとスティーブが長々と語り合っているのを台所の奥で微笑ましく見ていたローズは、火を通してかき混ぜたミネストローネの大鍋に蓋をすると、珍しく自ら後片付けをして寝室へ向かっていった。ドアの閉まる音を聞いたスティーブは、声のトーンを落としてジルに静かに語りかける。
「ジル様、私はジル様が16歳になった
「…!??…あそこは立ち入り禁止区域ではなかったのか?昔、黒の洞窟の帰り道に、何度も行きたいといってきたはずだが。」
「えぇ。もちろん覚えておりますとも。まだ幼かったジル様は闘技場の前に座り込んで駄々をこねておられましたね。ふふっ…」
スティーブは幼いジルの姿を思い出し、ふと笑いをこぼした。
「あの頃のジル様をお連れするには、赤の闘技場はあまりにも残酷な場所でした。あそこにはこの世界の真実が封印されております。
「…スティーブ…お前は一体何者なんだ…?俺になにか隠しているのか??まぁいい、行こう。赤の闘技場へ。」
「承知いたしました。では、明日の早朝には出発いたしましょう。今夜は、メドゥーさんとゆっくりお休みください。」
「え?」
スティーブはふふっと笑顔になると、ローズの待つ寝室へ入り、ドアを閉めた。
「お…おい、スティーブ…」
寝室のベットのほかには毛布は1枚しかない。
ジルはさっきまで自分を挑発していた生意気な女の、少女のように可愛い寝顔を直視できず、背中合わせになって薄っぺらい毛布に
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