16歳―ジル―

ふふふ…ついに僕にもこの日がやってきたようだね。


16歳の誕生日、僕達「影の人」は憑依の相手となる「光の人」を決めることができる…


そして、「光の人」にも「影の人」を選ぶ権利がある…


光と影は一心同体であるわけだからね…


え?ターゲット?もちろん決めているよ。


「光の聖域」に住むあのさ…


薔薇の咲き誇る庭園でいつも愛猫とたわむれている。


キミは僕のことを、きっとまだ知らない。


無邪気で可愛いあの笑顔…


僕は、そんな君を「影の空間」の窓ガラスの割れ目からずっと見守ってきたんだよ…


オンボロの望遠鏡でね…ふふふ…


あぁ…なんて眩しいんだ…


君の一点の曇りもない笑顔を見ていたら


僕は…僕は…体ごと消されてしまいそうになるんだよ…



知っているよ…


影の僕が、光のキミにお近づきになるなんて「イケナイこと」だって…


でもさ、光と影は互いに惹かれあうって決まってるんだ…


え?誰が決めたって?


僕が決めたんだよ…ふふふ…





それに、もう僕は「16歳」だ…


そろそろ、いいだろう、ねぇ?


ずっとこの日を待ち詫びていたんだよ…




きっと、キミは僕を選んでくれる。


だって、僕が選んだキミなんだから、当然だよね?


16歳の誕生日を迎えた僕は


「影」として「光」のキミに憑依するんだ…




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