第24話 赤い炎
噓だろ? 失敗した……。なんで?
俺の計画は完璧だったはずだ。何が雨川奏時を縛り付けている?
夢見想を助けるのも大事だけど正直それどころではない。
父様の期待を裏切ってしまった。こんなことあってはならない。
考えろ。まだ終わっていない。どうにか新しい策を。
そうだ! 奏時が寝ている時間にもう一度行って、真人と泰助、俺の三人でバリアを解除すればいい。そして、寝ている隙に《
それから改めて《所有権》で《能力奪取》を奏時に移譲。《所有権》も同じようにする。
俺は真人を警察に差し出してその時に《
そして奏時を《魅了》する。
そうすれば思うがままだ。そうだ。これでいこう。
ただ、泰助は俺を嫌ってる可能性が高いし厳しいか?
まあ、あいつは真人の犬だし問題ないだろう。それに最悪和田でも構わない。
◆
真人たちはひとまず、近くの小屋に入っていた。
(真人、命令だ。一番近い小屋にいろ。俺が向かう)
さてどうしたものか。一方的に命令されることしかできないため、具体的な状況を伝えたくても伝えられない。
「真人、主ってなんだよ?」
「それは俺もよく分からん」
そのことはしらを切るしかない。
泰助は不思議そうにするが追求はしてこなかった。
「それより一回もっと遠くに行った方がいいんじゃ」
「和田、話聞いてたか? 俺は今魔力が枯渇してんだよ。回復には時間がかかる」
「ご、ごめん」
「なあ、言うことを聞かなかった罰として犯しちまおうぜ?」
夢見を、か。正直やりたいが、やっていいのだろうか。
洸汰様からは拘束して魔法を奪えとしか言われていない。
俺の判断で決めるしかない。
俺は男の中の男だ。よし。
「やろう」
「待って、嫌、いやだ」
「やっほーい! 来ました来ました!」
「うおー、俺初めて!」
「俺も俺も!」
泰助と和田は夢見を掴んで逃がさないようにしている。
夢見には申し訳ないが、泰助と和田に怪しまれる方が洸汰様は困るはずだ。
あと単純にやりたい。
洸汰様が来るまでもう少し時間もあるだろうし。
「じゃあ俺からな」
でも、もし今洸汰様が来たらどうなるだろう。怖い。
でも、この背徳感も悪くない。
「無理無理無理! いやーーー誰か!」
夢見が暴れ出す。それを泰助が後ろからガッチリと封じる。
「黙れ! おい真人! タオルかなんかあるだろ。それで口塞ごう」
俺は急いで部屋からガムテープを見つけた。それを夢見の口に貼る。
手にはすでに手錠が装着されている。
「んーんーー」
「ゴムなくてわりーな」
俺はズボンを脱ごうと手をかけ──。
途端に爆風。
一瞬にして吹き飛ばされる。
壁に後頭部をぶつける。
夢見の方を向くと赤く燃え滾ったオーラの塊が渦を巻いている。
泰助は顔から血が出ている。
和田はドアに背中をぶつけた痛みに悶えている。
「夢見がやってるのか……?」
夢見の姿は見えないが、この中にいるのだろう。
こちらに近づいてくる。
俺は隣の部屋に駆け込みドアを閉めるが無意味だった。
炎。
木でできた小屋は力を持たない。
いつの間にか窓から出たのであろう和田が逃げているのが横目に入る。
「あのやろ」
ムカついている場合ではない。なんとかしないと殺される。
俺は小屋から逃げた。
全力で走った。
計画は二の次だ。
生きていないと、洸汰様に奉仕できない。
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