第7話 《感覚共有》

 手を握る。


感覚共有かんかくきょうゆう》。


 思考の流れが自分の中だけでなく、相手の中にも浸透する不思議な感覚。

 この魔法は自身の思考や視覚、聴覚などを指定した相手に伝えられるものだ。

 指定する際にはその人物を浮かべる必要がある。

 それが相手側の脳に行き、了承が得られると共有が始まる。


 ただし、相手からは伝えようと思ったことしか感覚が流れてこないため、基本的に一方通行である。

 こちらの情報は丸裸にされるのに、相手のことは分からない。

 それでも構わない。自分のためにもやらなくてはならない。


 初めてだからなのか、内臓がかき回されているかのような気持ち悪さもある。それに耐えながら、思考を送る。


(聞こえますか? 所長)

(問題ない。お前の方が大丈夫じゃなさそうだが)

(すぐに慣れます。ご心配なさらないで下さい。今後はこちらで情報共有と指示をお願いします)

(ああ)


(段取りはどうしますか)

(あいつらの好きにさせろ。想定外の事態になった時には私が指示を出す。くれぐれも正体がばれないようにな)


(承知しています。では行ってきます)



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