第5話 念には念を
元々の計画は思恩ともう一人を殺すことで始まるはずだった。
真人たちに思恩をいじめさせ、奏時と同じ境遇にすることに成功した。
しかし、思恩と神前が真人たちを殺す計画を立てていた。それも7月に。
俺は予定を変更した。
先に俺が神陸に行く。ただし、真人は殺しておく。
俺だけが先に行くのは数的不利に陥るため論外。
真人を殺すだけでもいいかと思ったが、それでは真人が神陸に転生していた場合に何が起こるか分からず、不確定要素が多い。真人が神陸に行く可能性は非常に高い。
また、神前の計画を失敗させるのは、人間関係上好ましくない。
よって、真人と一緒に飛び降りるのが最善手であると結論付けた。
問題はちゃんと俺の指示通りに二人が動いてくれるかどうかだが、きっと大丈夫だろう。数的には互角だが、奴らを恨んでいるのには変わりないし、神前は十分腕が立つように見えた。
仮に神前と思恩が計画に失敗したとしても自殺はしてくれるだろう。
神前のスマホは既に確認済みだ。奴は自殺願望も強い。
しかも、思恩と一緒に死ぬと言っていた。
神前に言われずとも、思恩は死ぬ覚悟をもう決めているだろう。
その裏付けも取れている。
思恩は臆病だ。反骨心がないわけではないが、行動力はない。その彼が、神前の提案に乗っているのは、盗聴器から確認済みだ。
それに、俺は神前経由で思恩にメッセージを残しておいた。
いじめ中に俺が見張りを担当していたのも、直接害を与えている印象を植え付けないためだ。そもそもそんな趣味がある訳でもない。
思恩はちゃんと死を選ぶ。
俺は思恩と神前に嫌われずに二人を転生させる。
そうすれば後々楽になる。
思恩は俺をいじめ相手の一人として考えている部分は少なからずあるが、できるだけフォローになるような交流もしてきた。そこに手応えも感じている。
もしダメだったら、父様は俺をどうするのだろうか。
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