09_押入れの中でキス

「んぅ……?」


「あ、あれ? いつの間に――」


「先輩! 先輩! 起きてください! 私たちすごい格好で寝ちゃってますよ」


「おはようございます」


「じゃなくて! 普通に挨拶している場合じゃないですって!」//焦る



//SE 携帯の画面をタップする音



「うぅ、あれから一時間も寝てしまいました」


「押入れの中は落ち着くと言いましたがまさか……」


「そろそろ帰らないと……」


「妹ちゃんまだ部屋にいるのかなぁ……」



//SE 衣擦れの音

(彼女から離れる)



「えへへ、でもぎゅーしながら寝るのって気持ちがとても満たされますね」


「汗かいているのがバレちゃうので恥ずかしいですが……」


「うぅ、先輩といるのにこんなに汗びっしょりになっちゃって」


「早くシャワーに浴びたいなぁ……」


「先輩、汗臭かったら本当にすみません」


「お、お願いですからこんなことで嫌いにならないでくださいね」//心配そうに



//SE キスの音



「んっ」


「えっ? ええっ!?」


「えええっ!?」


「い、今のはずるくないですか! いきなりキスするだなんて!」


「は、初めてのキスだったのに――」



//SE キスの音



「んんっ!」


「う、上書きしないでくださいよぉ……」


「せっかく余韻にひたってたのに……」


「自分でも何言ってるのかって感じですが……」


「もう、こんなところファーストキス奪われるなんて」



//SE リップ音

(彼女が自分の唇を触っている)



「ますます帰りたくなくなっちゃうなぁ」//ひとりごとのように


「隣に妹ちゃんがいるのに……」


「妹ちゃん、本当にどうしたんでしょうね」


「あっ、そうだ。携帯があるんだからメッセージを送ってみればいいんですね」


「先輩の家なので、先輩に見に行ってもらうっていうのも手ですが――」



//SE 手を握る音



「でも、もうちょっとだけこうしてたいです」


「だって、今日が終わったら次はいつ……」


「先輩がいきなりキスするからもっと離れたくなくなっちゃいました」



//SE 手を強く握る音



「なのでぎりぎりまでこうしていてくださいね」



//SE 携帯の画面をタップする音

(彼女が妹にメッセージを送っている)



「妹ちゃん、私たちの関係知ったらお祝いしてれるのかなぁ……」


「えー、本当ですか?」


「先輩は本当に何も知らないんですね」


「……」


「妹ちゃん、先輩のこと大好きですからね。完全にブラコンですからね」


「学校ではいつも先輩の話ばかりしているんですから」


「私、そのたびに嫉妬してました」


「あっ、初めて知ったみたいな顔してる」


「だから、最初に言ったじゃないですか。先輩は鈍感だって」//笑いながら



//SE 携帯の画面をタップする音

(妹からメッセージが返ってきた)



「おっ、妹ちゃんから返信ありました」


「今は出かけているみたいですね」


「……」


「はい、そろそろ行かないと。今が出られる最後のチャンスだと思うので」


「……」


「……」


「……先輩」



//SE 勢いよく抱きつかれる音



「最後にもう一度キスしてください」


「私、とても嬉しかったです――」



(少し間を置く)



//SE キスの音







後日



「先輩、こんにちは」


「はい、今日も妹ちゃんと遊びにきました!」


「妹ちゃん部屋にいるんですか?」


「え? お兄ちゃんが玄関まで迎えに行けって言われた?」


「もー、先輩のことこき使って……」


「すみません! ではお邪魔させてもらいます!」



//SE 玄関に入る音



「先輩、先輩」//耳元で囁く


「この前の押入れデート、楽しかったですね」


「またデートしてくださいね」//楽しそうに


「……ところであの後、妹ちゃんに意味深なこと言われました」


「お、お兄ちゃんのこと宜しくねって」//焦った様子で


「こ、これってどういう意味でしょうか?」//恥ずかしそうに











妹の親友とは秘密の関係です ~押入れの中で密着ひそひそデート~


~FIN~

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妹の親友とは秘密の関係なので ~押入れの中で密着ひそひそデート~ 丸焦ししゃも @sisyamoA

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