アウトロー・サムライ 〜破天荒な侍は戦乱において、最強を名乗る〜

ファンラックス

第1話 暴風

 ここはとある茶屋、店主とその女房らしき人物が何やら話をしています。


《店主》「聞いたかい、


《女房》「聞いたよ!侍たちがめった切りにされたって話!!」


 数日前、ここから遠くない町で近くを縄張りにしていた侍の集団が、何者かにめった切りにされたと言う話が巷に広まりました。荒々しく切り刻まれた侍たちを見て人々はこんな噂を立て始めます。…と、


《女房》「あんた…最近この辺りも物騒だし、引越しでも考えた方がいいんじゃないかい?」店主に対して女房は不安そうに言った。


《店主》「それもそうだなぁ」

 店主は引越し場所も考えておこうとこう考える。

 と、その時、店ののれんが上がり、誰かが入ってきました。


《女房》「いらっしゃい〜!」

 しかし、どうやら入ってきた人物は、店の団子を食べにきたわけではないようです。


「おい、アマ、俺は侍だ!銭を出せ!!」


《女房》「ヒッ、ヒィィ…!」

 その男は刀を女房に突きつけながらこう言った。


《店主》「お侍さん!銭は持っていっていいですから

 女房だけは、女房だけはやめてください!!」


「さっさと店の銭ありったけもってこい!!」

 その言葉を聞いた瞬間、店主は店中を駆け回り一瞬にして銭を集めた


《店主》「この銭で全てです、だから女房だけはお願いします!!」


「これで全部かぁ、少ねえな〜…貧乏夫婦が、

 またここに銭を取りに来るから、その時までにせいぜい

 しょっぱい商売でもしとくんだな」


《店主》「そ、そんなぁ〜」

 男はそう言って店を出ようとしたのだが、ちょうど店に入るところだった少年とぶつかり、お互いに尻餅をついた。


「いてててて、おい!なんじゃこのガキ!!」


《??》「イチチチ、餓鬼とは酷いな!!ぶつかってきたのはそっちじゃないか!!」少年は尻を思いっきり打ったのか、尻を触りながら言った。


 男はすぐに起き上がり、刀を少年の首に当てながらこう言います。

「おいくそ餓鬼、死にたくなかったらさっさと消えろ…

 を持った侍もどきが」


 その少年は男の言葉にはには耳を向けずに、後ろにいた店主と女房がひどく怖がっている様子と、男の懐が膨らんでいるのを見て全てを察したようだった。


《??》「ほぅ…貴様のはらわたの方が随分と錆びてるように見えるけどな…」


「はぁ!?なに言い上が…」



 ズバッ!!


 そこからは一瞬、少年は目にも止まらぬ速さで男を盾に切り裂き、

 男は一瞬で絶命してしまうのである。


《??》「そこらへんのチンピラが俺に勝てると思ってんのなら随分と

 落語のオチとしては最高だな!!店主さん、ちょっと着物濡れちゃったんで

 着替えていってもいいですか?」


 店主は突然のことにポカンとしながらも少しずつ状況を整理していった。

 それと同時に、この赤く染まった少年への恐怖は高まっていき、

 逆らってはならないと彼の本能はそう告げる。


《店主》「分かり…ました!!すぐに準備させます!!」

 その様子を見ていた少年は店主があまりにも怯えているようだったから

 少年は店主を落ち着かせるように言った。


《??》「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。私はあなたたちの金品を盗んだり、あなた達の命を奪ったりすることはしません」

 と刀をさやにしまい、少年は手を上に上げながら敵意がないことを全力で店主に伝える。すると、先ほどからずっと放心状態だった女房が少年にこう尋ねた。


《女房》「貴方…もしかして暴風?」


 少年はそのことを聞くと少し恥ずかしそうにしながら答える。


《風》「いかにも!!我が侍界の荒くれ者と呼ばれた、

 である!!!」



 彼の名は風、自らが編み出した風を操る剣術を使い、

 その自由人な性格と荒々しくも美しい剣術を備え、

 暴風、と呼ばれた天下一の荒くれ者アウトローの侍であった!!!








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アウトロー・サムライ 〜破天荒な侍は戦乱において、最強を名乗る〜 ファンラックス @fanracx

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画