注釈と後書き

注釈

注1:サイガシ=蓋波左以樫ノ木高校

注2:キャラの死に関するコンプラについて。作者の通っていたミッション系の高校の文芸部では、文化祭で発行する部誌、フリーペーパーなど、部員以外にも見せる作品において、人が死ぬ展開、流血表現、その他グロテスク表現が禁止されていた。病気でも災害でも殺人事件でも事故でも、登場人物の死は禁止であるという規則を、本作にも反映している

注3:架空の万年筆ブランド。夢野久作『侏儒』に由来。書き終わってから気が付いたが、本作は『侏儒』を思い浮かべながら書いているような出来だと思う。スケールタウンは甚だしい。

注4:「?」の後は通常、一文字分の空白が必須だが、これは古新羽くんがスマホに取ったメモだから、文章形式を守る必要はない。空白は不要である

注5:これは手書きの手紙だが、文章内の数字は、コンピューターの全角数字ほどスペースに余裕を持った書き方をしていないから、半角とする


 ここから後書き。実際、私が高校の文芸部に所属していたときも、その学校のチャペルを小説に登場させるのに、実際の利用マナーを全く踏まえずに執筆する部員がいた。古新羽くん同様、私は小学校からミッション系に通っていたから、創作のモデルに対する姿勢として気に入らないこともあり、無言で激怒した記憶がある。あるいは、そのとき感じた怒りを言葉にも行動にも表せなかったからこそ、この作品が誕生したという経緯がある。

 ただ、小説で複数の登場人物を作るということは作者の魂をバラバラにするようなものだ。私は、古新羽くんのようにその場のノリや感情の盛り上がりを優先して物語を作ることを全否定するつもりはないし、寧ろ、完全に一人で執筆しているときは、自分の感情を満たすことを優先してしまう。

 この作品において大事なのは、理性と感情の二元論ではなく、どんな人を前にしても、共感や協調、同調ができず、社会性の獲得に失敗する人間がいるという事実だ。漆和先輩は、女子部員の前では無口で落ち着いている古新羽くんが、自分の前では感情的に喋っている様を見て「じゃあ一人で頑張れよ」と背中を叩く。決して、一人で自滅しろとは言わずに……。

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馬鹿の野放図 平宍仁蜂 @Umeki2hachi

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