2.迷宮攻略

 僕たちは後日冒険者ギルドへ呼び出され、ある打診を受けていた。


迷宮ダンジョンに興味はないですか?」

「興味はありますが、確か迷宮ダンジョンって最低でもCランク必要じゃなかったでしたっけ?」

「はい、その通りです。 今回は特例としてギルドマスター直々の打診となりまして、皆さんにぜひ迷宮ダンジョンに挑んでいただきたいと。 もちろんすぐ帰ってきていただいても構いません」

「ん~、みんなはどうしたい?」

「行ってみるだけタダなんじゃない? 無理そうならやめればいいし」

わたくしは行ってみたいとは思います」

「シュンはどうしたい?」

「僕も皆さんがよければ行ってみたいです」


 迷宮ダンジョンは怖いけど、みんながいればきっと大丈夫だ。


「よし、決まりだな」


「俺たち迷宮ダンジョンに行きます」

「分かりました。 事前準備は怠らないようにしてください。 どうか、お気をつけて」

「ありがとうございます」


「よし、みんな三日後出発しよう。 各自準備はしっかりと」

「了解」


 そうして僕たちの迷宮ダンジョン行きが決まった。

 迷宮ダンジョンかあ、何が必要だ? 薬草採取のときと勝手が違うだろうし。とりあえずマジッグバッグに入るだけ持っておいて損はないだろう、魔物とか採取物のために少し空きは必要か。


 ――三日後僕たちは街の門に集まっていた。


「みんな、準備は大丈夫か?」

「もっちろ~ん」

「大丈夫です」

「い、いけます」

「じゃあ、行くぞ迷宮ダンジョンへ!」

「了解!!!」


 迷宮ダンジョンへ行く途中魔物は出たが、なんなく倒した。

 

 ――二日後、僕たちは迷宮ダンジョンに着いた。


「みんな揃ったか?」

「はい」

「俺たちにとっては初迷宮ダンジョンだ、気を引き締めていくぞ!」

「了解!!!」


 ついに僕たちは迷宮ダンジョンへと突入した――。


「少し暗いな シュンいいか」

「はい 視力強化 暗闇耐性付与」

「やっぱすごいな~これ! 助かる」


 僕たちは一階層をなんなく突破し二階層へ進んだ。だが、二階層に行くと1階層からは考えられない緊張感が走った。


「魔物の気配が多いな みんな慎重に進んでいこう」


 僕たちは歩を進める。


「魔物だ、あれは避けられないだろう。 戦闘準備」

「了解」


「シュンは付与 マイカは魔法でけん制 エリカは回復準備を頼む」

「腕力強化 脚力強化 切れ味強化 魔力強化 魔物に鈍足スロー付与」

「マイカ」

「"火雨ファイアレイン"!!」

「ドカンッ」

「はあああああ」

「あ」

「どうしたんですか!?」

「もう魔物倒してる……。」

「マイカさん凄いです!」

「へ? ふ、ふん! もっと褒めてもいいわよ」


 僕たちは今の調子でどんどん進む。ある程度進んだとき僕たちは初めて街の外での冒険者との出会いを経験した。


「お! 皆さんも冒険者ですか?」

「はい、今日迷宮ダンジョンに潜りました」

「そうなのか! よかったら一緒に行かないか? 人手は多いほうがいいし」

「いいですね、危険も減るので助かります」

「んじゃ、行きますか!」


 こうして僕たちは他の冒険者パーティーと手を組んだ。でも、まさかあんなことになるなんて……。


「お前たちどこの町の冒険者?」


 あれ、最初の口調は?

 みんな他愛もない話しをしている。というか、マイカさんとエリカさんに話しかける数多くないか? でも、二人は綺麗だから仕方ないのか。


「今度遊ぼうよ」

「いや」

「エリカちゃんは俺たちとどう?」

わたくしもそういうのは興味ないので」

「つれないな~」


 こういう人って地球にもいたけど、異世界にもいるんだ……ちょっと怖いな。でもいざとなったら僕が盾にならないと!


「ちょっと休憩しようぜ」

「分かりました」


 僕たちは小休憩をとることにした。


「エリカちゃんやっぱ可愛いよ」

「どうも」

「いや~、俺はマイカちゃん派かな てかうちのパーティー入らない?」

「すみません、そういうのは」


 コウタさんが割って入った。

 だが、そこから男達の態度は急変した。


「あ? 俺はマイカちゃんに聞いてんの」

「てかさ、マイカちゃんってランク何?」


 その瞬間僕は凄く嫌な予感がした。


「マイカさんまっ」

「え? 私たちEランクだけど」

「て……。」


「あ? お前ら最低ランクかよ。 なんで迷宮ダンジョンにいんの?」

「え、いや」

「あ~、なんか気いつかって損した。 リーダーこいつらやっちまいましょうよ」

「そうだな、さっきからむかつくし……死ね」


 そう言い放った瞬間男たちは突然襲い掛かってきた。


「おらああああ」

「エリカちゃんとマイカちゃんは傷つけないでくださいよ~」

「まあ、少しならいいでしょ」


 それでも流石勇者パーティーだ、みんなすぐに臨戦態勢に入った。


「正直うっとうしかったからよかったかも、私今最高にむかついてる」

「あら、マイカさん奇遇ですね。 わたくしもです」


 二人とも大変だったんだな……気づけなかった自分を殴りたい。

 だけど、一番怒っていたのはコウタさんだった。


「コ、コウタさん……」

「どうしたの、シュン」

「い、いえ 絶対に勝ちましょう」

「ふふ そうだね、シュン最大級のを頼んでもいいかい?」

「もちろんです!」


「付与術 握力、腕力、脚力、判断力、瞬発力、視力、聴力、魔力、回復力 強化」

「相手に 握力、腕力、脚力、判断力、瞬発力、視力、聴力、魔力、回復力 弱体化 鈍足スロー 付与」

「ふふ やっぱりシュン、君は最高だよ」


「な、なんだ!? 体の力が入らない? いや入っているのにこれ以上力が入らない な、なぜだ!?」

「俺の大切な仲間に、君たちは気安く近づいた」


「お、おまえら な、なんとかしろおおおおおおおおおお」


 ――僕たちは勝った。


「みんな先に行ってて」

「了解」


 僕たちはコウタさんをおいてその場を離れた――。


「た、たのむ 許してくれ」

「は? 絶対許さないけど」

「あ、音につられて魔物が来たね」

「は 全然みえねえじゃねえか」

「僕は『勇者』だよ 君たちより優れている」

「う、そだろ」

「ふふ そう僕はただの勇者だ君たちが頑張れば勝てたかもしれない」

「じゃ、じゃあなんで俺たちがこうもあっさりと負けたんだよ」

「さあ、なんでだろうね?」

「そろそろ魔物が襲い掛かって来そうだね」

「お、おい 頼む、助けてくれ……」


「……ふふ」

「じゃあね、さよなら」

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