また、この気持ち。後悔するような、古傷が疼くような、そんなことこれっぽっちも考えたくないときに来る、不思議な気持ち。……
以上から続く最初の10行ほどで「ガツーン」と衝撃を受けました。いや冗談ではなく、市販の文芸作品とあまり変わらぬ、いやそれ以上の印象的な出だしだと思います。無駄に説明が多くないところが、逆に心に訴えて来て、余韻を残しとても素敵です。
〇〇が、などといちいち各文に固有名詞を書かずに、極めてスマートに「美紗」、「心端」という名前を差し込んでスムーズに読ませる文章力、まるで目の前に映像があるかのような描写力。さらに【空を、舞ってたんだった。】、【それから、私の時は止まった。】など切り出した行で強い印象を残す構成のセンスの良さ。加えて、第一話、中盤から終盤にかけての心の叫びと心理描写は見事としか言いようがありません。
まだ高校1年生でこのレベルです。もしかしたら私達は将来の有名作家さんの初期作品を見ているのかもしれません。それくらいクオリティと可能性を感じる作品です。ぜひご覧ください。
追記:作品の登場人物と著者の三者トークがこちらで読めます! 楽しい!!
https://kakuyomu.jp/works/16818093082365351574/episodes/16818093082370519741