ひまわり

人類最弱

こんにちは。そしてさよなら

俺は星凪。2つ上の日菜子先輩とお付き合いしている。彼女はひまわりのように明る


く笑うとても素敵な先輩だ。辛さや苦しさ悲しさを一緒に分かち合い、いつだって俺


の事を考えてくれるとても優しい人だ。


「なに考え込んでるのさ?話聞くよ」


「いやー今日も先輩はかわいいなって」


「不意打ちずるいよ」


「照れてる先輩可愛いですね」


「恥ずかしいから見るの禁止です」


くだらないやり取りをしながら家へ帰る。俺はこんな日々がずっと続くことを願って


いた。でも、先輩は大学進学のために上京してしまった。俺は取り残されてしまっ


た。先輩の卒業間際に先輩からこう切り出された。


「私達別れよう。星凪がきらいになったわけじゃないよ。でも遠距離は、」


それに対して俺は何も言うことができず、首を縦に振るほかなかった。あの日を機


に俺の高校生活からは輝きが失われてしまった。



ある日、いつもの通学路を通っていると見覚えのある後ろ姿を見つけた。先輩とよく


通っていた河川敷に先輩の後ろ姿があった。そう気付いたときには走り出していた。


「先輩!」


そう叫ぶと見慣れた人が振り返る。


「星凪くん」


感動の再開だった。


「お久しぶりです。元気にしてましたか?」


「いつも元気だよ。今大学休みで地元に返ってきたんだよね」


先輩は微笑む。


「いつまでいるんですか?」


「うーん、今月末までかなぁ」


「じゃあ毎日に学校帰りここに会いに来ます」


「うん!待ってるよ」


先輩はとびっきりの笑顔でそう答えた。そこからは俺の日常が輝きを取り戻したかの


ように充実していた。毎日がとても楽しかった。先輩とおしゃべりをしているだけな


のにそれだけで幸せだった。あっという間に時間は過ぎていった。今日で先輩と会え


るのも最終日だ。俺は先輩に伝えたいことがどうしてもあった。とても緊張するけれ


ど強い日光にも耐えるひまわりの花畑が僕の背中を後押ししてくれた。


「先輩」


「星凪くん」


「今日は先輩にどうしても伝えたいことがあって」


「うん。聞くよ」



「日菜子先輩のことが好きです。俺ともう一度付き合ってくれませんか」



そう伝える。ただいつになっても返事が返ってくることはなかった。顔を上げるとそ


こには先輩はいなかった。ひまわりの花びらが輝きを携えたまま落ちていた。俺は混


乱した。俺は一縷の望みにかけて先輩と同じ大学を受験した。見事合格した。それか


ら俺は先輩を探し回った。いつになっても見つからなかった。俺は泣き崩れた。


              

              それもそのはず


        

         「先輩は去年亡くなっているのだから」











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ひまわり 人類最弱 @torochan_gunma

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画