みっつ。たまには曇る日もあるよ
救急車に乗せられて、搬送先の病院を探している時間がとても退屈だったのを覚えている。せっかく手当てをしてくれたのだから「救急車はもういい、放課後に自分で行く」と言ったのだけど、おじいさんに半ば無理やり乗せられた。僕なんかより困った人を乗せればいいのに。
「君が見えてへんのは、そういうとこやで」
そう言って大きめのため息を吐いたおじいさんはもういない。昨夜がお通夜で、今日お葬式。せっかく、地元に引っ越してきて、彼にまた会えると思っていたのに。
「――あそこの滝を見てると『ひょっとしたらー』なんて気持ちにもなってしもてね、」
目を開けると、先生はまだ旅行先の滝の話をしていて、何だかタイムスリップでもしたような気になった。でも、窓の外には鮮やかな青が覗きかけていて、遠くに薄い虹が見えた。その虹の根元はちょうどおじいさんの家の辺りに生えていて、何だかちょっぴり嬉しくなった。だから、何だという話だけど。手首を切るのも悪くないと思った。きっとおじいさんは否定するけど。
三つ立つと おくとりょう @n8osoeuta
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