【倉木さとし】回答3+質問4 自分の小説が生身の体に影響を与えた経験はあるか。そして、そうやって影響を受けるのは健全なことか。
【人物紹介】
倉木さとし
三十代後半にして、パチンコは儲からないと気づいた。負けた金額をボートレースに使っていたらとか考えている時点で、やばいのかもしれない。転職したら休みも減るので、こんなこと出来るのもいまのうち。執筆作業が出来るのも、いまのうちという風にならないように、運転中に下書きをかける環境を整えたい。マイクあれば、なんとかなるかな?
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個人的に小説のようなものを書きはじめた時期に影響されていたのは、ラノベではなくスーパーロボット大戦なんですよね。いろんなロボット作品が集まり、味方が増えた分、敵も増えるので、力を合わせて脅威を打ち破り、地球の平和を守ろうぜというシュミレーションゲームです。
ゲーム性よりも別作品のシナリオが絡みあうのが読んでいて楽しくて、色んなスパロボをクリアしました。
いまにして思えば、スパロボって二次創作にカテゴライズ出来る部分があります。オリジナル作品では不幸になった物語も、他の作品と関わることによってその不幸が回避される。そういうのを好意的に見てきたからか、二次創作に執筆時間を割いてるのかもしれんと自己分析したけど、この話はまたの機会に。
さてさて。過去に影響を受けたライトノベルは、小野不由美の悪霊シリーズや、賀東招二のフルメタルパニックシリーズ、秋山瑞人作品全般あたりかな。どれか一つが欠けていたら、いま小説を書いてはいなかったかもしれない。
ここらで、それぞれの作品概要を書くべきなのでしょうが、影響を受けた作品を勧めたいわけでもないんよね。
概要を書かないのに、書かないための言い訳をこれから書きます。
最近「SAND LAND」という鳥山明の作品をみて感じたのですが、全部説明して客に理解してもらったり、横道にそれた展開で盛り上がったとしても、それで本筋がぶれては意味がないんだよなぁって。
うまいこと柳田理科雄が言語化していたので引用させてもらうと以下のとおり。
「おそらく壮大な世界観が構想されていて、そこには魅力的な設定がたくさんある。いずれも物語の中心に据えることもできるし、話を盛り上げることはいくらでもできるだろう。だが、それらはサラリとしか使われていない。鳥山先生はこの作品で、ラオの熱い想いと、ベルゼブブのまっすぐな性格だけを真摯に描いているのだ。なんという贅沢な作品だろうか」
というわけで、今回の質問で倉木が答えたいのは、影響を受けたラノベ作品の話ではなく、影響を受けたことで一人の人間がどのように小説というものに呪われて狂っていったかを重要視したいのです。なので、作品の詳しい内容は割愛します。以上、言い訳終わり。
悪霊シリーズやフルメタシリーズとの出会いに共通しているのは、どちらもメディアミックスされた媒体から知ったということ。
ラジオ番組「宮村優子の直球でいこう」の中で放送されていたラジオドラマで、悪霊シリーズを知りました。当時は、いまみたいに悪霊シリーズの小説を手に入れるのが簡単ではなかったので、市の図書館でみつけ、貸出禁止だから、その場で読んでいきました。買えるものは一部だけ買ったけど、手元にはないぞ。あいつに貸したままみたいだ。
フルメタシリーズは、アニメから入って原作を読み、最初のアニメ化から数年後に続きがアニメ化されて、テンションが上りました。けれど、面白いのを知っているのに、アニメは見ないという小説の大勝利が倉木の中で起きている。フルメタは、無茶苦茶好きだからこそ、書き始めたら止まらないので、ほとんどなにも触れないようにしておきます。
上記の二つのシリーズと違い、友達にすすめられて読んで影響を受けた作品が「イリヤの空、UFOの夏」である。この作品はラジオドラマもきいて、アニメの円盤も漫画もフィギュアも買っているほど大好きだ。アニメや漫画では原作の魅力を描き切れていないから、小説ってやっぱ最高なコンテンツだと、この作品でも感じたものです。いかに素晴らしい作品かを語っていたら、こちらも膨大な量になりそうなので、やはり割愛する。
だが、今回に限っては語っておかねばならないこともある。
それは、作者の秋山瑞人に関して。
秋山瑞人は、電撃文庫の賞(当時は電撃ゲーム大賞だったのかな?)に応募して、受賞せずにデビューを果たしている。というのも、新人賞の締め切りを守らずに応募した作品が目にとまったらしい。このエピソードだけでも鬼才とわかる。
元来、ラノベはキャラクターに人気が出て売れるそうです。ヒット作がなかなか終わらずに長期シリーズとなってしまっている原因は、そこにある。実際に、大ヒットしたラノベを書いた作家なのに、新作がいまいち売れていないというのもあるので、読者が求めている優先順位は、好きなキャラクターが登場して活躍するかというのが大事、この作者が描く物語だから好きだというのは、残念ながら順位を落としているようです。
だが、秋山瑞人の作品に一度ハマったものは、作品やキャラクターで購入するのでなく、作家で本を購入するようになる。秋山瑞人の熱狂的な読者は、自分たちを瑞っ子と呼び、秋山瑞人の作品が足りなくて、いまもどこかで潤いを求め、乾いている。
ラノベ以外の小説ならば、作者買いをするのは当たり前なのだが、ラノベでそれをやってのけているのが、本当にすごいし、自分も秋山瑞人のような作家になりたいと思ったものだ。
これらのラノベ作品に影響を受けて、倉木の執筆人生はすでに二十年以上が経っています。別にどこかに発表するでもないのに、書き続けるわけのわからない人間になりました。やる気や小説の一行目を書くための衝動を、影響を受けたラノベ作品からいただいたといえば、きこえはいい。が、実情としては、もう止まらないんです。狂ってるんです。執筆を辞めようとしたけど、駄目でしたから。
倉木にとっては悪霊シリーズであり、フルメタルパニックシリーズであり、秋山瑞人作品であっただけで、誰もが影響を受けた作品があるから、小説を書き続けられるのではないでしょうか。だからこそ、倉木が影響を受けた作品がどんなもんだと読むよりも、自分に影響を与えた作品を読み直すことに意味があると思います。
なんだか精神的な話ばかりになってしまったので、ふわふわした感じになってますね。
最後ぐらいは、技術的なことで影響を受けたラノベの話をしてまとめます。
ガンダムの小説は、非常に作品づくりにおいて参考になりました。
なんともざっくりとした言い方になりましたが、ガンダムの小説全般に影響を受けているから、こういう言い方になってしまいます。
ガンダムは先にアニメが放送されていることが多いので(一部小説からアニメ化というパターンもあるけど)、アニメで映像化された尺と同じ流れのシナリオを、どうやってまとめているのかは、小説を読めばわかるので勉強になります。
物語をまとめるためにはどうやって改変し、同じテーマと展開でも映像がないからこその見せ方の答えが、描かれているのです。小説原作でアニメを作られた場合では、小説通りにされるために参考にならないのですが、逆のパターンだと学ぶことが多く、影響されまくりです。
小説サイトに掲載し、ダラダラと続いていき、終わらせ方がわからないものばかりを書いて、賞に送る際のまとめ方がわからなくなった時こそ、ガンダムの小説に立ち返るべきなのではないかな。いま、書きながら自分に言い聞かせている最中です。
そのうえで映画シナリオの基本である三幕構成を使いこなせば、長い物語も劇場版用の総集編みたいにまとめることが出来るはず。そろそろ、大量にある下書きの小説を新人賞に応募するサイズにまとめていこうと思います。
そういえばと、ガンダムの小説を読んでいた学生時代を思い出しました。昔は友達からガンダムの小説を借りて読んで、アニメとの違いに驚いたものだけど、そういう純粋な読み方が出来なくなっているのは、悲しいことなのかもしれない。
こちらからの質問に関してですが、結婚の話題とかをしようかと思いましたが、うまく質問がまとまりません。
なんでだろうなぁと思ったら、体調を崩していたせいでした。これを書いていた頃、忙しかったんですよ。保険の見直しや子供への一生モノになるものを買ったり、家族の病院の付き添いや、自分も病院に用事があったり、さらには職場でお世話になった方がいなくなるとか。なんやらかんやらと、色々忙しくて、執筆関係は後回しになっていました。
せっかく、クライマックスのシーンの執筆ができるところなのに、待ての状態でした。だから、ようやく書けるぞって、なったときに身体がおかしくなったんですよ。
体温が39度を越えました。
病院では原因不明(鼻に綿棒を突っ込まれたので、インフルエンザやコロナではない)とのことで、解熱剤を渡されるだけでした。「顔のない月」という、どのラノベ よりも倉木の人生に影響を与えたエロゲーの再誕が決定して、熱が3度下がったので、小説のクライマックスシーンを描くにあたって、精神がおかしくなって熱が出ていたのは間違いないと思います。
今度、同じような状況で熱が出たら、お医者さんには「小説を書いていて自分の作品に影響を受けて熱が出てしまいました」と説明するかもしれません。
ここで質問なのですが、郷倉君は自分の小説が生身の体に影響を与えた経験はあるでしょうか? そして、そうやって影響を受けるのは健全なことだと思いますか?
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