第30話 エンドロール

 私とレンはそのまま、遊園地の視察を終える。

 これは確かにいい。

 カップルにはとても楽しめるテーマパークだと思う。

 プレオープンに参加できたのは僥倖ぎょうこうだった。

 私とレンが視察したという情報が行き渡ると、世界各国からも集まってきた。

 レンは私の夫になり、今は宙と藩の二国間を行き来している。

 一緒に暮らしているけど、一年おきに定住場所を変えている。

 この世界でアイしているのはレンだけ。

「レン。大好き」

「ああ。俺もアイが大好きだよ」

「知ってる」

「もう。じゃあ、俺も言わない方がいいか?」

 ふるふると首を横に振る私。

「いや、言って欲しい」

「分かった。愛しのアイ」

「うん。ありがと」

 レンに寄りかかるとしっかりとした身体に包まれ、私は安堵する。

 こんなに頼ってもいい相手がいるとは思わなかった。

 父の命を奪い、世界を揺るがし、そして今はレンとともにいる。

 国内では反乱を行う連中もいたが、知と武を極めた私たちには勝てない。

 才能がある。

 だが、それだけじゃない。

 私たちは日々努力を重ねている。

 こうして、私たちはまた一歩踏み出すことができた。

 反目する連中に幸せを見せつければよい。

 誰でも幸せになれる。

 その可能性を忘れてほしくない。

 まっとうに生きていれば、幸せになれるのだ。

 それを忘れてはいけない。


 なぜなら私たちは自分の幸せのために生きているのだから。



                         ~完~

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溺愛するには知略が必要です。武力も必要です。 夕日ゆうや @PT03wing

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