いけ好かないやつ

@Yuna-coffee

第1話出会い頭に腹が立つ

私は風邪で3日会社を休んだことがある。

熱が38.5度で喉が半端なく痛い。

コロナは陰性だった。

会社はどんな病気でも有給休暇を使わなければならないらしく、毎朝休みの電話をする度に億劫になる。

先日は病気なのに頑張るってのはおかしいと思うけど、そろそろ頑張って来てねと上司に言われてしまった。

「頑張ります」と私は若干悲痛な声で返事をした。

3日目ともなるとそろそろ人の目が気になりだす頃だ。

翌日は這ってでも行くことにした。熱はなかった。

喉は半端なく痛い。

暑いから汗をかいているのか、それとも冷や汗なのか判断がつかない。

意識との格闘を終え、ようやく帰れるとロッカーで着替えていたら、奴に出会した。私は彼を「いけ好かないやつ」と呼んでいる。

今日は相手をしたくはなかった。何か言おうものならパンチでもお見舞いしたくなるが、体調が悪く気が沈む。

「今日おったんか」

いけ好かないやつ開口一番。

ああっこれだ。普通大丈夫かどうか聞くのではないか。いや、それが常識と思う俺がおかしいと思うことにしよう。

「いたね〜」

私は返事に頭を使うことをやめた。

「なに、流石に今日は来ないとマズイと思った?笑」

「そうだね〜」

明らかに体調が悪い人に対してこの態度と発言はどうなのだろう。笑ってなんだ笑って。

「えっボソボソ言ってて何言ってるか全然聞こえないんだけど!」

マジでいい加減にしてくれ。体調が悪くて喉が半端なく痛くてついでにマスクもしてればそりゃ聞こえにくいだろ。

あと真横でそんな大声出さないでください。頭が痛い。

いつもならにこやかに流しているのだが、今回はそうもいかない。

私はロッカーを閉めて奴の後ろを通るとき、

「喉が半端なく痛いからしゃべりにくいんだよ」

そう言って部屋を出て行った。

後ろで「なんて!?」って言っていた気がするがもう無視しよう。

こんな奴が私の同期なのか。

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