第7話 あなたは潜水艦を作る事にした
◆
『潜水艦出そうぜ(意訳) マッドマックス的世紀末古代にしよう』
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「潜水艦を作ろうか」
頭の中にうかんだのは、海の中を行く巨大な筒状の船の姿だった。俺はその船がどういうものなのか俺には不思議と理解できる。
水圧に負けない鉄のボディを持ち、浮上沈降を自由に調整できる注水タンクを備え、人間のままでは決して到達できない深い海の中にも行ける。そんな船だ。
「キューブ、潜水艦を作って。できる?」
「要望を受諾しました」
次の瞬間、ズドンと浜全体に衝撃が走り今までさんさんと太陽の日差しが降り注いでいた浜に影が落ちる。
見上げるほどに巨大な、黒のシルエットだ。
日差しが隠されるほどに巨大な船がそこにあった。
「これで海中のアマビエ様のところまで行こうか」
この船を見て、赤黎は嘴をパカンと開け驚いていたけれど。
◆◆◆
「乙ひめさまの御馳走に~、鯛やヒラメの舞踊り~♪
ただ珍しくおもしろく、月日のたつも夢の中~♪」
潜水艦の中は思ったよりも広く外の景色が良く見えた。どういう構造なのか、大きな窓が付いていて外が見れるんだ。あまり大きな窓があると潜れないような気もするけれど、どうせキューブで出来たものだ。そのあたりはなんとでもなったのだろう。
窓からは、水面から差し込む日の光が、海中でキラキラと反射し、たくさんの色とりどりの魚が泳いでいた。控えめにいって幻想的な景色。
どうせならばとついて来た村の子供、尼彦とアリエは海中の珍しい光景に浮かれきゃっきゃと唄を歌っていた。
その歌は? と聞いたら、天津国でよく歌われるおとぎ話らしい。
主人公の漁師は、海の国に行ってごちそうと魚の舞を堪能した後、地上に戻ったら数十年が立っていましたという筋書きだ。
「浜に戻ったら、凄く未来になってる……なんて事ないだろうな」
「いや、不吉な事を言う出ない。天啓がこの世の理を握っている今、そういう不条理な事も起こりえるぞ」
「例えば、世界が荒廃してて、砂の惑星になってるとか……」
「髪の毛は全員奇抜なものになっておるかもしれんのぅ。例えば中央を残して刈り上げているとか」
「トゲトゲの車にのってヒャッハーしてるかもなぁ」
「人間が残っているなら、まだマシかもしれんぞ。人類全員猿になっておる可能性もある」
「マジか。そこまでか」
「可能性は無限じゃ」
「こわ……。早くアマビエ様を探して帰ろうか」
潜水艦を沖に向けると、海の様相が少しずつ変わってくる。比較的浅く魚が多かった海域から、深く、圧倒的な青が支配する海域へ変わっていった。
ここは火の光もあまり届かない。
暗く、寒く、味気ない世界だ。
「気配を感じるのは、あのあたりじゃな」
赤黎が指し示す先にほのかに光が見える。
深海の黒の中にある小さな光だ。
「アマビエ様は光と共に現れるので、アレに違いありません」
「せん」
子供たちが声をそろえて? いうけれど、段々そのキャラつけ適当になってきてませんかね?
すぐそばまで潜水艦が近づいたようだ。
ほのかな光は見えるものの、ここは深海ともいえる場所だ。見渡しが悪く、薄ぼんやりとしている。あれがアマビエであるのか判断が付かない。
「よし、赤黎。ライトをつけてくれ」
「あいさ、我が背」
バンと船の前方につけられた高出力のレーザーライトが光をはなつ。
そこで浮かび上がったのは――。
「う、うおおおおおおおおおおおおおぉぉぉおお!!」
「のわぁぁぁぁぁあああああ」
「きゃあああああああああああああああああ」
「ひやぁぁぁぁぁあああ!!」
四者四様の叫び声が上がった。
人が生存できぬ深海のその奥で、暗闇の中で浮かんでいたのは。
巨大な巨大な、アマビエ様の腐乱した水死体だったのだから。
◆システムメッセージ―――――――――――――
あなたは海中に向かうために、潜水艦を用意した。
あなたは、マッドマックス的世紀末世界に思いをはせた。
あなたが見つけたアマビエ様はすでに死んでいた。なんだったらすでに腐っていた。その上、アマビエ様は思ったよりも巨大だった。
どうやら、アマビエ様はただ死んでいるだけではないらしい。その半ば崩れた眼窩からは何者かの眼が、獲物を狙う捕食者の眼が光っている。
あなたはこれと対峙してもいいし、逃げ出してもいい。ぶっちゃけなんでもいい。作者も若干飽きが来たため、好き放題しようと考えている。
何か天啓が降りなければ、次ぐらいで核魚雷ですべてが吹き飛ばされてもおかしくない状況である。
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異世界? 転生? したらしいけどどうすりゃいいんだこれ 千八軒 @senno9
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