第20話 北の大地。
あれから色々なことがあった。
ミミルが変な依頼を引き受けてきて、皆んなで逃げることになったり。
魔法使いの爺さんに弟子入りして、皆んなで修行をしたり。
カルアが俺に夜這いをかけてきたり。
そんな苦労を乗り越えて、俺らは北の大地に降り立った。
船から降りて、地面を踏みしめる。
感慨深いものがある。
カルア達の試練は、さらに北。
ご先祖さまの洞窟に行く必要があるらしい。
その中には門番がいるということだ。
なので、俺たちは、最後の休憩地点になるライムの村で休憩をとる。
そういえば、転生者パーティーはあれから苦労しているらしい。
まあ、俺の補助魔法がくなったのだから当然だが。
性懲りもせず、ドラゴンの追撃隊に志願したらしく、パーティーは全滅。
2人もかなり危ない状況で落ち延びたらしい。
そして、今更俺の有用性に気づいて、また勧誘してきたが、もう遅い。
ミミルもカルアも、イヴもいるからな。
「無理」と言ったら、泣いていた。
俺にはやらねばならないことがある。
あんな奴らに付き合っている暇はない。
ご先祖さまの洞窟までは、ライムの村から歩いて5時間ほどだ。
洞窟の入り口で最後の調整をする。
「みんな、これから突入になるが、覚悟はいいか? かなり熾烈な戦いになる」
ミミルは双剣を撫でながら答える。
「覚悟? 集落が襲われた時からできている」
カルアも頷く。そして言葉を加えた。
「試練のためにここまできたのです。皆との約束を果たしましょう」
イヴは?
「旦那さまの行くところなら、地獄の果てまでも」
カルアが言葉を被せる。
「つばきくんはわたしと赤ちゃん作る約束してるの!!」
「別に勝手に作ればいい。妊娠することと結婚する事は別だ」
あー、うるさい。
また喧嘩が始まった。
こいつら、ちゃんと助け合ってくれるのかな?
あとは、誰かいたかな?
あぁ、ティアか。
ティアは、あれから音信不通なのだ。
でも、一応、女神ボタンを押してみる。
すると、何故か、直接に声が聞こえた。
「あなた達、ヒーラーいないでしょ? この奇跡のエキスパート。元女神のティアさんを連れて行きなさい」
えっ。元?
ティアが後ろから普通に歩いてきた。
こいつ、どこから出てきたんだ。
「天界でコレ盗んだら見つかっちゃって。人間界に堕とされた」
おいおい。
女神が盗みとかダメでしょ。
どうせなら地獄まで堕ちて、堕天使になればよかったのに。
そういって、俺に何かの薬を振りかけた。
すると、箱がパタパタと開いて、俺は不意に放り出された。
ティアが続ける。
「天界では、人間の魂を使って魔道具にすることがあってね。これはその魂を解放する薬。これないと貴方たち、魔王とか神を倒すの無理でしょ。感謝しなさいよ」
え、さらりとこいつ。
魔王はともかく『神』ってなんだ?
とんでもないことに巻き込まれる予感しかしない。
それに人間の魂を利用とか、天界、怖すぎるんだけれど。
そして、俺は本気で魔道具だったってことか。
箱から外に出ると、俺の身体はみるみる大きくなり、皆を見下ろせるほどになった。力が漲ってくる。これが、レベルマックスの力か。
それに、外に出たってことは、ティアに各種のお仕置きも可能になったこということだ。
でも、天界から堕とされてまでコレ持ってきてくれたんだろ?
そんなことできんよな。
「ティア。前に言ってたお仕置きの件だが。やっぱり……」
「お仕置き? いいわよ。せっかく人間の身体になったんだし。肉の悦びも味わってみたい。出産というものも経験してみたいし」
いや。
残念だけど、当ハーレムは、もう満員なんですよ。
だが、まぁ。
俺の後ろには、4人の仲間たちがいる。
苦楽を共にしてきた最高の仲間だ。
1人はサイコパスで、1人はアホだが。
……こほん。
相手がドラゴンであっても、魔王であっても神であっても負ける気がしない。
だから、ツバサ。みててくれ。
必ずお前に会いに行くよ。
(終)
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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では、また別の作品で。
ありがとうございました!!
気づいたら箱の中なんだが? おもち @omochi1111
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