第9話 「山下真理子との対決」

ラボで得た決定的な証拠を手に、私たちは山下真理子の研究所に向かった。雨は依然として降り続け、重い雲が空を覆っていた。研究所の前に到着すると、チーム全員が緊張した面持ちで準備を整えた。


「全員準備はいい?」私はチームメンバーに確認した。優斗、美咲、夏美がそれぞれ頷く。


「行きましょう。」私はドアを開け、研究所に向かった。


研究所内は静まり返っていた。私たちは慎重に進み、山下真理子のオフィスに向かった。彼女のオフィスのドアをノックし、応答を待った。


「どうぞ。」冷静な声がドアの向こうから聞こえた。


ドアを開けると、山下真理子がデスクに座っていた。彼女は私たちを見つめ、冷静な表情で言った。「何かご用ですか?」


「山下真理子さん、私たちはあなたの新薬の治験に関する決定的な証拠を掴みました。」私は冷静に切り出し、彼女に証拠を見せた。


「これが何を意味するのかお分かりですね?」優斗が続けて言った。


山下真理子は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻した。「それが何を意味するかは分かりませんが、私はこの研究が正当であると確信しています。」


「しかし、あなたの新薬が原因で鈴木大輝を含む複数の被験者が重篤な症状に陥っています。これを無視することはできません。」私は毅然とした口調で言った。


山下真理子はしばらく沈黙した後、重い口を開いた。「私はこの研究が多くの人々の命を救うと信じていました。しかし、結果的にこのような事態を招いてしまったことは事実です。」


「なぜそんな危険な成分を使用したのですか?」美咲が尋ねた。


「この成分は、通常の使用では問題ありません。しかし、一部の被験者に対して予期せぬ反応が出てしまったのです。」山下真理子は悔しそうに答えた。


「それでも、この危険性を把握していたなら、適切な措置を取るべきだったはずです。」私は厳しい口調で言った。


「その通りです。私の判断ミスが多くの人々に危害を及ぼしました。責任は私にあります。」山下真理子は深く頭を下げた。


その瞬間、警察のサイレンが鳴り響き、研究所の外でパトカーが止まった音が聞こえた。私は事前に警察に連絡を入れておいたのだ。


「山下真理子さん、あなたを逮捕します。」警察官がオフィスに入り、山下真理子に手錠をかけた。


「私は全ての責任を取ります。すべてを明らかにするために協力します。」山下真理子は静かに応じた。


警察官は彼女を連行し、私たちは研究所の外に出た。雨はまだ降り続けていたが、事件の解決に向けて一歩前進したことを感じた。


「この研究を直ちに停止し、全ての被験者に対して安全対策を講じる必要があります。」私は研究所のスタッフに指示を出した。


「分かりました。すぐに対応します。」スタッフは素直に従い、研究所の運営を停止した。


ラボに戻り、チーム全員で事件の総括を行った。


「山下真理子の研究は停止され、彼女は警察に逮捕されました。被験者たちには適切な治療が施されることになりました。」優斗が報告した。


「これで鈴木大輝の死因も明らかになりましたね。」美咲が続けた。


「皆さん、お疲れ様でした。これで一つの事件が解決しました。」私はチーム全員に感謝の意を伝えた。


事件が解決し、NDSラボは新たなスタートを切る準備を整えた。宮本美咲も正式にチームの一員となり、次なる挑戦に向けて気持ちを新たにした。


「これからも頑張りましょう。」私はチーム全員に呼びかけ、新たなスタートを切った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【完結】『Unexplained Death』 湊 マチ @minatomachi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ