第18話 どろぼうかも?

「ありがとうございます」

 ポピィはドリンクを飲んで、吐いた。

「なんですか、これ!」

「ドリンクだけど?」

「何のドリンク?」

「しまうまの血」

「は?」

「おいしいのよ、疲れた時におすすめ」

「…」

「昨日、まかない用に作ったの」

「…え? 昨日はしまうま、あったんですか?」

「うん、そうなんだけど、しまうま、本当にどこにいっちゃったのかしら?」

「それって、おかしくないですか?」

「おかしいわよね」

 ミモリは思案顔になって、

「泥棒でも、入ったのかしら?」と言った。

 ポピィも思案顔になって、

「しまうまに何の用事?」と言った。

 さばいたしまうまに、用途があったとは思えない。

「他に何か、無くなったものはありますか?」

「ないと思うけど」

「しまうまのみ」

 ポピィは考えてみたが、何も思いつかなかった。

「とりあえず、元気になったら、復帰して」とミモリ。

「…わかりました」とポピィ。

 その日の貸切パーティは大成功に終わり、ミモリシェフが考えた「しまうまの肉の唐揚げ」は大好評だった。

 その日の夜、何者かが『ミカン・ラン』に侵入した。

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