第16話 駅前のお肉屋さん

「あの、しまうまって、どこに売ってますか?」

 ポピィは市場でお店を開くおじさんに聞いてみる。

「しまうま? そんなもの市場で売ってたかねぇ」

「しまうま、ない?」

「何十年もここでお店をやってるけど、聞いたことないね」

(!)

そのおじさんは衝撃的なことを言った。

 ポピィが腕時計を見ると、貸切パーティが始まる1時間前だった。

(ミモリシェフ、どこで、しまうまを買ったんだ?)

 ポピィはあせりだした。

(そろそろ、しまうまを買って帰らないと、貸切パーティに間に合わない)

 しかも、メイン料理!

「ミモリシェフにどこで買ったか、聞いとけばよかった…」

 てっきり、近くの市場に売っていると思い込んでいた。

 ポピィは市場の公衆電話を見つけて、『ミカン・ラン』にかける。

「そうよ、そこには売ってないわよ。しまうまはね、駅前のお店で買ったの」

「駅前?」

「そうよ、駅前」

「どこですか、そこ」

「確か、駅前のお肉屋さん」

「そんなお店ありましたっけ?」

「あるわよ、駅前に行けばわかると思うの」

「わかりました、駅前ですね、すぐに買いにいきます」

「ありがと、助かる、頼んだわね。じゃね」

 ミモリシェフは電話を切った。

ポピィは腕時計で残り時間を確認してから、駅前のお肉屋さんに急いだ。

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