第14話 最高傑作の料理
そんな時、ある客が『ミカン・ラン』にやってきた。そのお客さんは今日のおすすめランチを注文した。ひと口食べたその客は衝撃の味に顔をほころばせる。ミモリはそのお客さんの顔に「絶品ランチ」の味を見た。ミモリの顔もほころぶ。
それからというもの、そのお客さんは『ミカン・ラン』の常連客になり、毎日のようにお店に来るようになった。ミモリや店員とも顔見知りになり、その客がお店に来た時は特別にサービスメニューを追加で出すほどまでになっていた。
「ミモリさん、今度、ミカン・ランで貸切パーティをしたいのですが」
その客は笑顔でミモリにお店の貸切を予約した。
「お料理はどういたしましょうか?」
「おまかせでお願いします」
その客は危険な言葉を言ってしまった。
『ミカン・ラン』が開店してから初めてのお店の貸切予約だった。
ミモリは張り切っておまかせメニューを編み出した。
その結果、ミモリの人生の中で最高傑作の料理が誕生した。誰も食べたことのない奇妙な絶品料理で、おいしくてほっぺたが落ちるような、危険な食材で作った最高傑作だった。 モモリに試食してもらったところ、あまりのおいしさにモモリは言葉が出なかった。
「すごすぎる、お姉ちゃん…」
モモリはミモリが今まで作った料理の中で、一番おいしいかもしれないとまで言った。
「ありがと」
ミモリは自分の腕を存分振るった料理を褒められて、笑顔になった。
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