「なるほど」

　医者は腑に落ちた顔をした。

「ししふぐの毒なら、こういう症状が出ることがあります」

「！」

　ポプィとマルアは顔を見合わせた。

「解毒してみましょう」

　医者がししふぐの解毒剤を点滴すると、お客はみるみる体調が良くなっていった。

　血を吐いた原因は、ししふぐの毒と断定された。

　瞬く間に噂が広がり、レストラン『ミカン・ラン』はめずらしい食材のおいしい料理を食べられるお店だけでなく、危険ととなり合わせのスリリングな食事ができるお店という、奇妙なレッテルがついた。　レストラン『ミカン・ラン』には行列ができ、スリリングな食事でも、めずらしい食材のおいしい料理を食べたいというお客がどんどん増えていった。

「世間って、わからない」

　ポプィはたくさんのお客さんでいっぱいのお店を見て、ぽそっと言った。