第12話 ゆでた「ししふぐ」

 そして、それは再び起きた。

 レストラン『ミカン・ラン』に来たお客が食事中に血を吐いた。ミモリは慌てて救急車を呼び、血を吐いたお客さんは病院に収容された。

「マルアさん、今、病院に収容されたお客さんは、何を食べてた?」

 さすがにおかしいと思ったポプィが料理を作ったマルアに聞いた。

「魚介たっぷりのペスカトーレです」

「隠し味は?」

「ししふぐ」

「猛毒の魚の?」

「ゆでると、毒がなくなるそうです」

「毒って、食べると血を吐くこともあるって、聞いたことある」

「完全に毒が取れてなかったってことですか?」

 マルアが青ざめる。

「調理方法はミモリシェフの指示だよね」

「はい」

 ポプィは少し考えた後、

「マルアさん、レシピを持って病院に行こう! 血を吐いた原因はミモリシェフが考えたペスカトーレかもしれない」と言った。

 ポプィとマルアはお店の勤務時間が終わった後、ペスカトーレのレシピを書き写して、血を吐いたお客さんが収容された病院に向かった。

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