第5話 新作のプチスイーツ

 次の日、『ミカン・ラン』に短い行列ができた。今日は月に一度のお店のスペシャルデーだった。今日一日、『ミカン・ラン』では、お店のサービスとしてプチスイーツを無料で提供していた。変わった味のプチスイーツと評判で、それを食べるためにお店に来る客もいるほど。プチスイーツは五種類から選べて、今日は新作のプチスイーツがラインナップに加わっている。

「ミモリシェフ。本当にこれを入れるんですか?」

 昨日、ミモリが腕を見込んでアルバイトで雇ったパティシエのポプィが、スイーツに入れる材料としてありえない材料がスイーツレシピのメモに書いてあるのを見て、ミモリに確認してきた。

「絶対入れて。それを入れないと、おいしくないのよ」

「わかりました」

 ポプィは新作のプチスイーツを作り始める。新作のプチスイーツが焼けたころ、丁度、『ミカン・ラン』の開店時間になり、ミモリはお店のドアの鍵を開けてお客を店内に入れた。ミモリは新作のプチケーキを食べるお客の顔の味を見ては、にっこりしていた。

 そんな時、それは起きた。

 お客のひとりが気絶して、椅子に座ったままのけぞった。ミモリは慌てて救急車を呼び、気絶した客は病院に収容された。原因は痙攣だった。医者が血液検査の結果を見ると、毒物が検出されることもなく、異常なしだった。痙攣の原因は不明とされた。

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