第3話 熊ブリトンの蒸しステーキ

 開店準備を終えたミモリはレストランの入り口のドアの外に、オープンと書かれたメッセージ板を乗せたお花のかごを木のサイドテーブルの上に置く。少しして、ドアにつけてあるベルの音が鳴り、ふたりのお客さんが店内に入ってきた。

「いらっしゃいませ」

モモリはスライスレモンが入ったポットからグラスに水を注ぎ、ふたつのグラスをトレーに乗せて、メニュー表と一緒にお客のテーブルに持っていく。

「今日のおすすめは、ブリトンの蒸しステーキです」

「ブリトン?」お客のひとりが聞く。

「熊のお肉です」

「じゃ、それで」

「かしこまりました」

 ミモリはガラス張りの厨房に入り、子熊をさばきはじめる。厨房を見ていたお客が度肝を抜かれる。ミモリは器用にお肉を切り分けて、フライパンで熊のお肉を蒸し焼きにした。

「おまたせしました」

 湯気の立つ、おいしそうな熊のステーキをお客のテーブルに置く。

「こちらのソースをかけて、お召し上がりください」

 ふたりのお客は目を見合わせた後、ブリトンの蒸しステーキを食べ始めた。

 厨房で洗い物をしながら、ミモリはふたりの客の顔の味を確認した。ふたりの顔には「さっぱりした脂身でおいしい!」と絶賛の味が出ていた。ミモリは小さくガッツポーズをする。

「ありがとうございました」

 ふたりの客は満足した顔で、お店から出て行った。

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