第2話 食べたことのない味『ミカン・ラン』
ミモリ十五歳、モモリ八歳。ミモリとモモリは7つ年の離れた仲のいい姉妹だった。両親は共働きで、ミモリが毎日の食事の担当をしている。
「私ね、将来、絶対にシェフになるの」
ミモリは料理をするのが大好きだった。子供のころから家の食事を作っていたせいか、料理の腕はなかなかだった。新メニューを考えてはモモリに食べてもらうのが、習慣になっていた。ミモリの作る新メニューは斬新で、普通、料理にあまり使われない材料を使った変わった料理だった。ミモリは家から歩いていける大きな市場に行っては、めずらしい食材を買ってきて、新メニューの創作に没頭した。今では自分で考えたレシピが五冊分ほどできあがっている。どれも、モモリがおいしいと太鼓判を押したレシピで、味は保証されている。
「お姉ちゃんなら、なれるよ。だって、おいしいもん!」
「ありがと」
モモリはミモリの料理を食べるのが大好きだった。新メニューができるたびに、わくわくして食べていた。
ミモリの料理の腕は日に日に磨かれていき、十六歳になったころには家の近くのレストランでシェフとしてアルバイトを始めた。ますます、料理の腕が磨かれていき、二十歳になったころには自分がシェフのレストランを開店するまでになる。お店の名前は『ミカン・ラン』。意味は『食べたことのない味』。
ミモリは新メニューを生み出し続け、国のあらゆる食材を料理の材料として生かし、見たことのない食べたことのないおいしい料理を作れるようになっていた。十六歳のころからアルバイトしていたお金と親の援助で、子どものころから夢だったシェフの夢を叶え、自分のお店『ミカン・ラン』を手に入れた。
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