食べたことのない料理への挑戦!その時それは起きた!!
栗間あみか
第1話 顔に味が出る
小さな女の子、モモリはスプーンでクラムチャウダーをすくった。口に入れようとしたところで、じっと見られている視線に気づく。
「…食べづらい」
モモリは口をへの字にした。
「ごめん、ごめん。どんな味が顔に出るのか見たくて」
クラムチャウダーを作った少女ミモリは、ふわりと笑みを浮かべた。
「…顔に味が出るの?」
モモリが不思議そうに言うと、
「出る出る」とミモリ。
「ふ~ん」
モモリはスプーンですくって、クラムチャウダーを食べた。ミモリを見て、
「味、出た?」と面白そうに聞いた。
「バッチリ」とミモリはにっこりした。
大きな窓のあるキッチン。陽が射して明るいキッチンにふたりはいた。モモリとミモリはテーブルをはさんで向かいに座っている。モモリの前に湯気の立つクラムチャウダーがひとつ置かれていた。モモリはいつもミモリが作った料理の味見役だ。
「おいしいよ!」
モモリがほほを蒸気させて、笑みを浮かべた。
「これも、クリア」
ミモリは自分のレシピノートに採用のマークを書く。
「ティーモンクも、使えるっと」
「ティーモンクって?」
「毒花」
「!」
モモリの手からスプーンが落ちて、床ではねる。
「お姉ちゃん!」
「だいじょぶ、だいじょぶ」
モモリの目に涙があふれてくる。
「毒は抜いたから、だいじょうぶよ。安心して」
「…ほんと?」
「もちろん。私も食べよっと」
ミモリは鍋からスープ皿にクラムチャウダーをよそった。モモリは食い入るように、ミモリがクラムチャウダーを全部食べるまで見ていた。モモリはミモリが無事なのを確認してから、安心してクラムチャウダーを食べ始めた。
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