中井京介とちょっと怖い話

グイ・ネクスト

第1話 中井京介とちょっと怖い話。

 日本のどこかにある四森町蒼井(探せばあるかもしれません)。

辺り一面、森と山に囲まれていて、V字谷が特徴の町にボク、中井京介は住んでいる。長いので、京介と呼んでほしい。


 事件の始まりはSNSからのメールみたいな物から始まった。


 七枚の写真。


 パッと見はどう見てもただの物置きだった。


 そこに自分と縁のある霊を見つけ、さらに、輪廻転生を繰り返している霊を見つけるまでは。


 霊には二種類ある。因果律がつながっているから「自分にだけ見える」霊と。


 確かに魂としてそこに存在している霊。


 最初に見えたのは「自分にだけ見える」霊たちだった。


 妹、兄、姉、父、母、弟(自分)。彼、彼女たちの殺される姿がハッキリと見える。ああ、こんなところで?いや、似たような場所で殺されたのだろう。


 前世の傷。それが今世にも影響するのか?例えばボクは背中を斬られていた。

 だが、そのはるか昔には喉を刺されている前世もある。腰より少し上を刺された前世だってある。


 時々、そういうのを癒す。いやす事で・・・現在の症状まで治ると本を出版している人までいたけど・・・。ボクは前世の傷には反対だ。


 前世の傷が現在に影響を与える事は、因果律という仏教の教えに照らし合わせても考えにくいし、そんな事はあり得ないと理解できた。


 さて話を戻す。写真だ。


 いったいどこの物置きなのか。四森町からほんの少しだけ南に行ったところにその物置きはあるみたいだ。


 情報提供者である和藝(わげ)が言うには今も使われているらしい。


 二番目に見えてたのは、確かに魂として存在している、犯人と黒幕の霊だった。


 龍脈を利用して・・・情報提供者である和藝(わげ)の家に短命の呪いをかけていたようだ。


 それも最初は大金を積まれてやった・・・というのが、動機らしい。


 龍脈を利用する。一般人にはまずピンとこない。


 そんなのホントにあるの?


 って思うだろう。


 だが、龍脈は確かに存在するし、龍脈は利用できれば、他人の家の後継者だけを呪う事ができる。


 よくある呪いのやり口としてはあれだ。


 ある時期になると、今まで見えていなかった霊が見え始める。


 「自分にだけ見える」霊としてそれは現れる。


 どうやって?と、思うかもしれない。


 虫だ。虫に生まれ変わる事で、その家に「因果律」をつなげたのだ。


 だが・・・よく覚えていて欲しい事は・・・


 呪いなんて物は、ありはしない。


 一日、たった一回。


 神さまに、宇宙に、他人に・・・「感謝」を捧げる。


 たったそれだけで消えてしまう。


 そんな物に怯えて暮らすなんて、馬鹿げている。


 ただそれは呪いが発動していない状態の人には有効だ。


 「自分にだけ見える」霊が見え始めると・・・そのたった一回が難しい事もある。


 それは呪いで・・・そういう物が見えると言う事もあるんだけど。


 心理学で言うところ、影だとしたら「自分にだけ見える」霊として現れる。


 そう。そう言う可能性も考えていくと


 やっぱり呪いなんて物はありはしない。


 そう言う結論になってしまう。ただ残念ながら、和藝(わげ)の写真の件は


 短命の呪いだった。


 そう言わざるを得ない。それはこの後の体験が物語っている。


 和藝と連絡を取り合い、浄化の日取りを決める。その過程で、お寺に前日にすがりに行った。この時、菩薩像を物置きに置く事で龍脈を浄化する案を思いついた。


 和藝の職場に行って、直接、菩薩像を渡す。その次の日、浄化を行なった。


 正直、いつも通りの浄化だった。菩薩像も物置きに置かれ、返品してもらう期日も決めた。


 いつもと違ったのは翌朝だ。


 朝、洗面所にいくと・・・


 そいつはいた。


 黒い。全体的に黒い。赤い目をしていて、神社の神主のような衣装を着ていて、立っている。


 そいつは悔しがっている。


 「お前の魂を乗っ取り、お前に短命の呪いを掛けようとしたのに!何故だ!」


そいつはそう叫んでいた。おそらく黒幕って奴だ。龍脈を浄化された事で、標的をボクに狙って来たみたいだ。馬鹿な奴だなぁ。と、ボクは思った。


 「何故、魂が無い!どうして!死んでるじゃないか!どうして生きている!」


さらに叫んでくる。うーん。魂が無いんじゃ無くて、すでに魂だけは卒業して、死後の世界に旅立っているから。まあ、わかんないよね。


「お前は誰だ?何者なんだ」

あーごめん。「いただきます」そう、告げる。


ボクたちの本体(肉体じゃないよ。本当の本当の本当の自分)の事を簡単に伝えると

その者、王の中の王にして、神の代理にして、闇の支配者。


ここでは、闇の支配者の部分を呼び出し、大きな大きな狼が、黒幕の足元に出現する。その狼の口が開き、黒幕を食べた。ぐギャラボエー。そんな断末魔も聞こえたかもしれない。闇の支配者に食べられる事は想像を絶する拷問が待っているようなものだ。


「南無阿弥陀仏」ボクは浄土真宗を信仰している人間なので、浄土真宗の真言を唱える。すると大きな大きな狼が・・・金色に輝く大地の上で浄化される。


食べられた黒幕も浄化され、三途の川を渡った。


わずかな時間に感じる。


現実。特に生きているボクたちには・・・。


だが、想像できない時間が霊の世界では過ぎている。


一秒は万年。億年。無限大。


霊の世界には時間の概念が無い。


現実世界の一秒は霊の世界では無限大の時間が過ぎているのだ。


生まれ変わり。


案外、早くどこかで生まれ変わっているかもしれないのだ。


あなたの亡き友人、知人、親友、家族たちは。


話を少し前に戻して・・・黒幕さんが「魂が無い」って驚いていたと思う。


京介である、ボクにとっては卒業したと書いた。


卒業ってなんだろう?


本当の本当の本当の自分に出会う事です。


本体に巡り合う。


その時、魂って本体じゃ無いんだ。って教えてもらえる。


肉体、魂、本体。


まあ、魂が今まで本体と勘違いしていた黒幕さんには・・・


あれ?魂が無いって驚いた事だろう。無いんじゃなくて


本体に戻っているだけ。


つまり、魂は本体とつながっている入口でもあるんだ。


まあ、この辺で終わります。


ね、ちょっとだけ怖い話だったでしょ

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