第8話

「夕陽が、とてもキレイだねぇ~」波音のBGMを聞きながら。

 僕は、彼女と過ごした。今日の事に思いを馳せっていた。

 初めて、二人で海にきた。今年の夏に降り注ぐ。

 海辺の天使を拝めたのが、僕は来てよかったと

 心から思う。その海辺の天使は、僕の隣に立ち。

 海の中に沈みそうになっている。夕陽を眺めていた。

 「ん?どうしたの?」彼女が、僕の方に顔を向け。

 小首を傾ける。僕は「いや・・・・・・何でもないけど・・・・・・」

 と小声で答える。「ふ~ん~そうですか・・・・・・。

 あぁ‼そうだ!」「えっ⁉なに?」突然、彼女が何かを

 思い出したような言い方をして。僕は、少し驚いてしまった。

 すると、彼女は僕の方に体を向け。ストライプの水着姿のままで

 今更ですか?と言いたくなる事を言い出した。

「私、まだ君の名前知らなかった」「えっ⁉・・・・・・今更ですか?」

僕と彼女が出会ってから。半年が経つのに、彼女は、僕の名前を

知らないと言ってきた。考えてみれば。彼女に、僕の名前を

言った事がない気がしてきた。一緒に、公園でピックニックをしたのに

一緒のベットで寝たのに。彼女は、僕の名前を知らないと言った。

 僕は、下手な愛想笑いをした後に。彼女に、僕の名前を

 入力した。立場英斗たちば えいとと入力して

 『この名前でいいですか』と表示が出て。僕はカーソルを

 『はい』の所に合わせて押した。「ねぇ、ちょっといいかな?

 君の名前を教えてくれない?」画面越しの彼女が言うと

 先ほど入力した。立場英斗たちば えいとと表示された。

「ふ~ん~立場英斗って言うのか・・・・・・。私の彼氏の

 名前は・・・・・・とても素敵な名前だね。立場英斗くん」と

 彼女が、僕の名前を言う。これは、現実の話ではない。

 ゲームの世界での話ではあるけど。僕にとっては、彼女との

 半年間で起きた。全てのイベントが、いい思い出なんだ。

 画面越しの彼女に、先ほど入力した。名前を言われ。

 僕は、とても嬉しかった気がした。このゲーム

 「私のお願い答えてよ」は恋愛アドベンチャーゲームの中で

 屈指の人気を誇る。PCゲームだ。世間からは、現実を忘れさせる。

 呪いの恋愛ゲームと呼ばれている程。このゲームプレイした人(男)は

 全員、現実の世界に戻らず。廃人化してしまう。

 ゲームのヒロインのお願いを聞いて。戻れなくなってしまう。

 プレイヤーが後を絶たない。それは、この僕も含まれる訳で・・・・・・。

 「ねぇ、ちょっといいかな?これからも、私とずっと一緒にいってくれる?」

 画面越しで、彼女が言うので。僕は「うん。ずっと一緒にいるよ」と答える。

 この僕も、現実の世界から離脱した。このゲームのプレイヤーの一人である。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ねぇちょっといいかな? 優薔薇 @yo-81u

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ