第2話 成長
SE:時が進む音(時計の針が高速で動くような音)
「マスター、おはようございます。朝食をお持ちしました」
【間】
「お腹いっぱいになりましたか?それはよかったです」
「残念ですが私は食事をする必要がありません。 食事を取らないことは不安ですか? ふ~む、では・・・・・・ア~ム、モグモグ、モグモグモグモグ、ごっくん。あ~、お腹いっぱい。食事をしました。不安は消えましたか?」
「”疑問に変わった”ですか・・・・・・今のは『ごっこ遊び』です。マスターくらいの年頃の子どもが好む遊びで、男女ともに楽しみますが男の子はヒーローのフリをして戦ったり、女の子はお母さんになって食事や子育てをするフリをして楽しむ遊びです」
「ごっこ遊びをやりたいですか?では本日のお勉強が終わったらやってみましょうか」
「ダメです。遊びの時間はお勉強の後です」
「お勉強は大切ですよ。まず、不安が減ります。人は知らないことを前にすると不安や恐怖を感じるのです。例えばマスターは先ほどご飯を食べない私に不安を感じました。でも、機械について学び、私のコアについて学べば私が半永久的に動けることが理解でき不安が消えます」
「そして、お勉強はマスターの可能性を増やします」
「私のメモリーには万を超える世界中の遊びが記憶されています。でも、7歳のマスターに理解できる遊びはその中で極わずかです。マスター、今のマスターにチェスの面白さや世界の歴史に関するクイズ、数学の難問を解き明かす行為。詩や小説を書く創造的な活動。そして、大人が楽しむ性行為。それらについてマスターは面白いと思えるでしょうか?」
「はい、お勉強をすればどの遊びも楽しく感じられる日が来ると思いますよ。では、お勉強をいたしましょうか」
SE:時が進む音
「おはようございます。マスター、残念ですがマスターと私はこのを出ることはできません。地上はいまだ汚染によってとても危険な状況です。お部屋に戻りましょう」
「ッ!!・・・・・・」
SE:刃物が落ちる音
「残念ながら私はマスターの自殺を止めなければなりません。これはマスターのお父様の命令です」
「そうですか。孤独ですか・・・・・・私ではそれを埋めれないのでしょうか?」
「ぎゅってしてあげますよ」
「ぎゅ〜〜」
(これが思春期なのでしょうね)耳もと
「わ〜、マスターに嫌われた〜」抑揚の無い棒読みの声が遠くから聞こえてくる
SE:時が進む音
次の更新予定
毎週 土曜日 14:00 予定は変更される可能性があります
【ASMR】終末の世界で自壊出来ない彼女と壊れゆく君 ちゃんちゃらめ @tyantyarame
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【ASMR】終末の世界で自壊出来ない彼女と壊れゆく君の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます