向く方向

@PokiNyan

向き合う日も大事

私はある日、彼のことが好きになって告白をしてお付き合いを始めた。

彼と会える日は毎日ではなくたまに会う頻度だ。

私「今日は久しぶりに会えて嬉しい!いつもメールとか電話でしかお話しできないから本当に嬉しいよ!」

彼「僕も嬉しいよ、私ちゃんに久しぶりに会えるのが楽しみであんまり眠れなかったんだよね」

私「えー、デート中に寝ないでよ?」

彼「そんな寝ないよ、安心して!」

そう彼は言ってにっこりと微笑んだ。私は彼の微笑んでる姿が一番好きなのかもしれない。それぐらい胸が躍った。

私「彼くんが一緒に見たいって言ってた映画って、どういう映画なの?」

彼「えっとね、一言でいうと恋愛映画かな。好きな小説の実写だから一緒に見たいなって思ってね」

私「本読むの好きだもんね!私もその映画見てからでも気になったら本読んでもいい?」

彼「いいよ、その時は貸してあげるよ!」

彼と楽しく自分たちの好きなお話を今日も歩きながらお話ししていた。


映画も終わり、帰り道でもずっと二人でお話をしていた。

私「今日の映画凄いよかったね!私いっぱい泣いちゃったよ」

彼「僕より泣いてたもんね、でもそれだけ気に入ったってことだよね?」

私「うん、凄い気に入っちゃって小説も読んでみたいな~って思ったよ!」

彼「そっか!ならまた次会うときに本貸してあげるね」

彼との約束がまた一つ増えた気がして心がいっぱいになった。

そして、お別れの場所についた。いつもここでお別れなのがちょっと寂しい。

私「次はいつ会えるかな~」

彼「また二人で決めて会おうね!」

私は嬉しくて「うん!」ってにっこりとした満面の笑みで言った。

彼もにっこりと笑って頭にポンっと手を置いてくれた。

彼と別れ、一人で家に帰るその道は確かにしんっと静かにしているが、心はまるで外にも聞こえるのではないかというぐらいの鼓動で溢れていた。

そして、微かに残る彼が頭に置いてくれた手の感触と温かさが私を包んでくれる。そんな気持ちになりながら一人帰り道を歩いた。


彼と過ごす月日はあっという間に過ぎ去っていき、二年が経った。その中でもう戻れないのではないかと思えるぐらいの出来事も起きた。

それでも彼と二人で頑張って乗り越えた、彼がいたから乗り越えることができたと私は思っている。

私「もう付き合って二年たったね!彼くんといるとすぐ時間が経っちゃうよ」

彼「あっという間だったよね、いっぱい思い出もあるけど今がやっぱり一番だよ」

私は彼とお話をして彼の言葉一つ一つに心が動かされる。

私「私も彼くんといる今の時間が一番好き。大好きだよ!」

彼「うん、僕も大好き」

前より、会う頻度が少し増えたような減ったような感覚。間隔が空いたり空かなかったりとしていたからだろうか。

でも、なぜだろう・・・。


彼とたまに会うだけでは少し物足りないなとそう思い始めていた。

そう思いながらも無理に会うのは良くないって自分に思わせて落ち着かせている時に、突然彼がこう言った。

彼「ねえ、もう少ししたら僕ら一緒に過ごさない?」

私「え?」

私はびっくりして体が固まった。

彼「ほら、もう付き合って大分経ったわけだし一緒に過ごしたいなって」

私「うん!彼くんと一緒に過ごしたい!」

そういうと彼は優しく抱きしめてくれた。

私もぎゅっと抱き返した。精一杯の力で彼を抱きしめた。


彼と会う日々は少なかった、確かに少なかったが彼と一緒に過ごせる日が来ると思うと、今はなぜだか何気なくしていたメールや電話も綺麗な桜色に色づけられて自分がお姫様にでもなったのではと錯覚してしまいそうになるほど優雅で楽しい時間に変わったそんな気がした。


私「大体いつ頃から一緒に過ごせるの?」

彼「そうだな、大体半年は先になるけど大丈夫かな?」

私「そんなの全然待ってられるよ!すぐじゃん!」

彼は「それもそっか!」と言って笑った。

心が幸せで満たされて溢れてしまいそうになるほどの気持ちになった。

その日は彼が泊まっていく日だった。彼と一緒に寝ている夜。

私はふと目が覚めた、横には彼がいる。

それだけで心が温かくなる。彼の誕生日に送ったピアスが左耳からちらっとちいさく光って見えているのを私はじっと見ていた。心の中はもう彼のことでいっぱいになっていた。


『ずっと離れないでいてほしいな』


急に胸がちくっとした。ざわついた気もする。

別に嫌いなことされたわけじゃないのに。

そう思いながらまた眠りについた。


そして、彼と一緒に過ごす日になって彼と私の荷物が一緒になった。その作業は辛くなくむしろ胸が躍る高揚感に満たされていた。

これからの彼と過ごす日々、出来事はどういうものになるのだろう。

そう思うと心がまた満たされていく。しかしどこか心の中にある場所だけが埋まってない...そんな感じがした。


私「今日の夜ご飯は何がいいかな?」

彼「そうだね、じゃあオムライスにしようよ」

私「それ、いいね!オムライスにしよう!」

彼と初めて作ったご飯、美味しくて甘くとろけてしまって酔ってしまいそうになるほどの味だった。


『彼くんはどう思っているのかな』


ちょっと期待もした。

私「凄い美味しいね!一緒に料理作るの楽しい!」

彼「うん、そうだね。美味しい」

また、心がちくっとした。

それでも彼といるのが幸せだから気にすることはなかった。


私「今日もお疲れ様、おやすみ!」

彼「うん、おやすみ」

一緒のベッドで一緒に寝る。一緒ということって凄い幸せなんだな。


『もういい、じゃあね。』

『なんで!?私何かしちゃった...?』

『お願い、離れないでよ...待って...待ってよ!!』


ハッと目が覚めた。心臓が大きく鼓動する。汗と涙が止まらない。でも横には彼がいる。胸をほっと撫でおろして心落ち着かせて。彼にそっと触れた

夢なんだなってほっと思い洗面所に行き、顔を洗って朝食の準備にとりかかった。

彼も起きてきて一緒に朝ごはんを食べる。朝ごはんは何度か経験はしていたがそれでも胸が躍る。恋っていいな。恋してる時って本当にいいな。


彼「そろそろ仕事に行ってくるね。今日も頑張ってくるよ」

私「うん、お仕事頑張ってきてね!事故とかには気をつけてね?」

彼「うん、ありがとう!いってきます」

私「いってらっしゃい!」

軽いキスを交わして彼を見送った。


朝は家事やお買い物を済ませて、お昼過ぎからは私も作業をしていた。

私「少し眠たくなってきちゃったな...少しだけ寝よう~」

彼といると毎日が七色に色づけられている気がして、起きてから寝るまでの間の時間が忘れられない程の気持ちでいっぱいになった。

彼といる日々がこのままずっと続いていきますように・・・。

私はそう思いながら眠りについた。


『君は幸せになってね』

『そんな...ひどいよ...別れ際に』

『......』

『私、これからどうしたらいいんだろう』


また飛び起きた。

またこんな感じの夢だ。外を見ると暗くない。

夜ではなかった、朝日が昇ってきている。

私「いけない、凄い寝ちゃってた!」

そう思ってキッチンへ向かおうとした。しかし、そこにつく前にあるものに目が行きはっと今置かれている現実に気がついた。



私「そっか、もういないんだったよね。」

彼の置かれた写真を見て、どこか切ない気持ちになった。

だけど、その写真を見てると少しでも前を向こうって思える。

辛いときいつも夢に出て励ましてくれてたんだね。

どこまでも優しくて暖かくてずっと傍にいてくれる彼くんのことが今もずっと好き。










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










身だしなみを整えた後にとある場所を目指して歩いた。

私「今年も来たよ!そっちでも元気してるかな?」

彼のお墓に手を合わせた、今日は彼くんの命日。

これからもずっと一緒にいようね。

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