第2話 赤色

 道端に、二匹の蛙がいた。


 二匹の蛙は赤かった。

 寄り添い合うように固まっていた。

 その二匹は、やけに平たかった。

 その二匹からは、車の匂いがした。


 目を瞑ってから、前を見た。


 赤かった。


 車も

 子供も

 看板も

 信号も

 建物も


 蛙も。


 信号は、緑になった。


 信号だけは、緑だった。

 きっと、あの蛙達も、緑だった。


 でも、直ぐに、赤くなった。


 自分を見た。

 どこも赤くなかった。


 私は、

 私だけは、

 赤色ではない。

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色彩豊かな世界 形の歪んだ絵 @yugami5027

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