第4話


そうしていると、ベスタの顔が落ち込んだように見えた。 なにかの心配そうな顔だった。


「さくと勇士様、実は私は200年前からこの空間に隠れています。魔王と四天王たちが私の命を狙っています。」

「うん?、、200年だと?それ大丈夫?」


200年間こんな異空間に閉じ込められていたなんて、人間の俺としては想像もできなかった。一週間も大変だろう。

この白くて広い空間は良さそうだが、そのようなベスタにとっては監獄のような空間だったろう。


「私は食べることも寝ることもなく生きることもできますが、人々の祈りや、神への信仰から力を得ます。200年間何も得られず放電の状態でした。。」 

「。。。そうか。」


ベスタの表情が疲れて見える。どうりで、初めて召喚儀式を終えた後、俺を見て喜んだような気もしてた。 200年間何の交流もなかったから寂しかったはずだ。


「最後の希望をかけて、勇者様を召喚してみようと思ったのですが、さくと勇者様が現れてくれました。もう怖くて、限界で、諦めようとしてました。もう私のすべての力もほとんど尽きて、これ以上召喚意識とか、能力を発揮することは大変です。」


ベスタの顔から何かが流れていた。

こんな話誰にもできなかっただろう。

つらかっただろう。

俺もここに200年間いたわけではないだが、

俺もなんか理解ができた。

人間関係で苦しい時、社会で苦しい時、誰にも言えないということは、頼れるところがないというのは空虚な監獄、そして、苦痛だけだ。


「べスタ。」

「だから、私、さくと勇者様をみてほんとに嬉しかったです。神界に助けを求めようとしたが、魔王が異世界にある神石をすべて破壊してしまったのか、連結がすべて切れた状態です。」


大変だったろう。


「─────もう大丈夫。」

「勇者様?。。。」

「辛かっただろうね、お前はすごいなやつだ。」

「いや、私は力もない、世界を守り抜く力もない軟弱な神、、」

「———————立派にその時間を耐え抜いた。」

「———、、、!!」


俺はゆっくりとベスタの頭をなでた。ベスタは驚いたようだが,俺の手を拒まなかった。 俺よりずっと長く生きた存在だが、そんな幼い子供のような少女は泣き続けた。


「、、さくと勇者様。ありがとうございます。ちょっと、、、落ち着きました。」

「いや、大したものではない。」


少し赤い紅潮の少女は黙って頭を撫でられるのが懐かしかったような涙声で話すだけだった。

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可愛い神様に召喚されて始まった異世界生活 @kuroisame

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