初恋の終わり、復讐の終わり……そして人生の終わり

 全くここで一番風呂に入る日が来るとは。

 感無量と言わんばかりに、広い風呂で足を伸ばすのはアッシュ。

 人の物になったとはいえ、人質の身とはいえ……嫌な思い出があったとしてもここは自分にとって生家である。

 目を閉じて流れる日々は……うん?碌な思い出が無いな。と何もしてないのに、不思議とイライラ。

 だからこそあがる。

 本当はもっと浸かりたいが一人では無理、それは昔から変わらない。

 落ち着いている瞬間が、一番嫌な記憶が蘇る不思議。

 脱衣所で用意した部屋着と下着を肌にまとい、ここを出る準備は万端。

 そんなアッシュの目には、洗濯するから脱衣後の服はここ!と書かれた篭。

 そこに入れたはずの、さっきまで着ていた衣類は全て無くなっていた。

 綺麗な字を書くし、気も効くな。と思わず口から漏れ出るのは、盗まれたと感じないのは……数多の修羅場を越えたとはいえ名家のボンボンだからであろう

(洗濯とかをシッカリやってくれるのは助かるな。まぁ、人質を雑に扱うわけないけど、それでもやってもらう時はカネを取るのが基本だからね……まぁしっかりと一年持つくらいの金は国が持たせてくれたんだけどね。)

 風呂場でのイベントが何も起きなかった事もあってか、初恋の相手に対する未練は……彼の想像よりも遥かに薄くなっていた。

 ただそれよりも脳裏に刻まれるは美しき文字。


 この家にいる雇われからすれば、手伝いますよ。と言われる程の価値は人質の彼に無いらしく……払った金額以上の働きは期待できない事を察したアッシュは、とある一室に自分の腕で荷物を運びこんでいた。

 無論これらの行動を風呂に入る前に済ますくらいの、脳みそは彼にもあり。

 入浴後、一年間自室というていの拠点は……記憶にあった限りでは父の部屋。

 そこを選んだ理由は……家主が使っていたんだから一番いい場所だろ。という家族愛もクソもない考え方。

 うーんやっぱり父に対して愛着も感謝も無いな。と思った後、そういえば飯くらいは流石に用意してくれるよな。と不安がよぎる。

 無いなら外で飯を食おうかな。どっかいい店を見つけてもいいし金スッカラカンになるだろうけど……と考えた時、お食事の用意ができたようです。と女中が一人。

 おお!ベストタイミングと思わず口から漏れた。

 お持ちしましょうか?の言葉に対して、金使いの荒いボンボンから、一番重要な仕事をしていない女中に、ほら持って行けとチップが渡される。


 しっかりと火が通った温かな食事。

 人質相手とは思えない程に手が混んでおり、男の自炊とは比べるのも失礼な程に、技術と慣れを感じさせるおいしそうな料理。

 成長中の武人に食わせる事を考えて、健康よりも強くなる事を考えた結果なのか、肉と魚が多めなところはすこぶる彼に高評価。

 勿論、味や量が完璧とは言えないが……そこにさえ明確な気配りが見えている。

 朝食の参考にしたいので感想を書いてください。と添えられるは綺麗な字で書かれた紙。

 この配慮だけで男という愚かな生物は、どこまでも嬉しくなるのであった。

 事実、この気配り上手で字が綺麗な存在がアッシュは気になって仕方ない。

 優しい等と薄ら寒い事を口にした幼馴染なんかよりも、この存在が気になって仕方ない。

(あぁ俺のゼロ目惚れ相手よ。どうか男ではありません様に……まぁ同性だったとしても側近になってくださいと頭をシッカリと下げよう。ヨシ善は急げ!食後の予定は決まり。)

 そんな夕飯と、顔も名前すら知らない相手と……思い込まされているだけの思い人に対してアッシュは素直に感謝し……手をあわせた。

 

 ぶっちゃけロストテクノロジーの産物たるカップ麺が出てきても、文句を言わずにお湯を入れて待つくらいは覚悟していた事もあり……喜びはひと押し。

 味付けがイビルディア帝国と違うのは当然であり、自分の舌が故郷は……コッチなんだな。と改めて思ったアッシュは懐かしい味に感嘆。

 初恋が終わったダメージが修復されていく感覚が、次の恋の始まりを予感させた。

 顔も名前も知らないだろ!というマトモなツッコミに対して、彼は鼻で笑うだろう。

 何故なら壊れた父を世話する継母を見て……真実の愛を知ってしまったから。

 だからこそ顔や身体等という雌の要素を取っ払った……名前すら知らない今こそ獣欲無き瞬間!この感動が全てだとアッシュは思い込んだ。

 ギャップというモノが、人の心を一番動かす事等言うに及ばず。

 脳を揺らされ心奪われた彼は、完食後シッカリと負け時と、言わんばかりに感情を込めて字を書いた。


 お礼と要望が書き記されるは件の紙。

 スゲーなこの人。という言葉は己と比べるのもおこがましい程に、どこまでも美しい文字への賞賛。

 自分が持たない技術に対して、武の研鑽をするアッシュはその道を想像しここまでの努力に……素直な心で両手を叩いていた。

 清い心のせいか空になった皿を見るだけで、途端に愛しさはこみ上げてくる。

 料理という技能も戦場で生きる……からこそ彼は難しさと手間暇を知っていた。

 勿論相手の好みを知らない故完璧では無いが……だからこそ自分の好みを知ってもらってからの、明日の朝ご飯が楽しみで仕方ない。

 何なら、金を払ってでも夜食を頼もうかな?とフライングすら頭をよぎる。

 絶対に要望を聞き入れ改善してくれる。と狂気じみた一方的で相手の事を考えない発想。

 交友と恋愛の経験が薄く浅いにも関わらず……それなりの結果をだしてしまった故に誕生したのは、能力はある依存系、即ち歴史に名を残しただけのストーカー。

 アッシュの脳内ではどんどん妄想が膨らみ……完璧な存在ができ上がっていく。

 その顔が初恋の人に似ている事……それが許せなかった事もあり首を横に振り、彼は何とか別の顔を思いつこうとしたが残念ながら無理だった。

 

 顔も知らない愛しき人。

 脱衣所の篭といい、本日の夕飯といい……気が利く人間というモノの顔が見たいと思うのは人の性。

 もはやアッシュの中でイタズラに肥大化し、ベンチマークを狂わすだけの存在。

「やっべ明日からずっとこの人に世話してもらえるとか、人質になって良かったと思えるレベルなんだけど、裁縫が得意だったら将官服を頼もうかな……ソレッて告白じゃん。もうここまで思うなら運命の相手だな。初恋の後悔があるし今回は死んでも逃さん。」

 付け足すまでも無く、そんなの顔と名前を知りたいに決まってるだろ。と脳内会議は賛成全員で可決。

 件の紙を片手に必死な顔で、運命の人を探すのはアッシュ。

 その顔は、どこまでも恋に恋する故か破顔。

 美しい女の肖像画、名家の娘が書かれた肖像画……異性にとってどこまでも都合のいい存在。

 すなわち男の器量が馬鹿でかいアッシュにとって顔と家柄等、好感度上げの材料としてすこぶる弱かったのだろう。

 だって名前も顔も知らない相手に、彼は会いたくて会いたくて仕方ないのだから……

 

 始まるは目をちばらした少年による苛烈な聞き込み。

 旧空閑邸にいる女中達は掃除専門で、誰一人料理、洗濯は管轄外との事。

 そりゃそうだ。だって鳳さんはココを使ってないもん。とは人質の弁。

 もうこの時点で、二回目の恋が氷山に乗り上げた事を察したアッシュの顔は死んでいる。

 そして案の定な光景、うん知ってた。とは独り言。

 自分の着ていた服が、洗濯術式によって綺麗にされ、シワがつかないよう伸ばして干される様から漏れでる気配りが苦しくてたまらない。

 あぁ、うぅ。という、小さくて可愛く無ければ許されないうめき声を出すのは主演。

 裁縫道具を片手に、天満縁側で何しているの?という見知った顔が彼は恨めしくて仕方ない。

 それでも件の紙を離したり、破いたりしないのは……未だ幻想を信じているせいか?

「何!久遠は俺に恨みでもあるの?一度踏みにじった程度じゃ足りないの?」

 上がりこむや否や、名前の主が頭上にハテナマークを浮かべる事を口にするはアッシュ。


 日の出と共に出立する予定だからか、少女が使う部屋は綺麗に片付いていた。

 あっ料理の感想書いてくれたんだ?アハハ喜んでくれたみたいで嬉しいよ。という久遠の言葉で……二度目の恋と真実の愛は木っ端微塵に砕け散った。

 事実もう彼の心は妄執の人と想像の人が同一人物という現状と、好感度の乱高下で再起不能状態。

(えっ、何?どんな鍛え方したら腕や足てそんな太くなるの?さっきは礼服姿だから気づかなかった……よくみたら肩幅も広っ胸板厚っ!はぁ逃した魚は大きかったか。……最後に筋肉の一つや二つ触らせてくれないなかな。)

 戦場で、鍛錬で、稽古で他人や物体を殴りつづけた雄の身体は、どんなに足掻いても男性ホルモンの蓋が開く。

 その結果出来上がるものは、まさに磨き上げた芸術品。

 都合のいい夫タイプの個体が、雄としての実績と能力を……分かりやすく肉体を磨き上げてきた事に、生唾を一飲みして久遠は絶句した後、縁を一度切ったのは自分だと素直に諦めた。

 そんな事等、心中等見えぬせいか……アッシュは、で!袖にした男に対して点数稼ぎを続ける理由が見えないんだけど。と嫌味ったらしく。

 それに対して、そうだよ。と感状が一切こもっていない肯定?と思われる悲しそうな声色。

 まぁ朝ご飯までは作ってから帰るよ。せっかく感想を書いてもらえたし、手を抜くような事はしないから安心してね。という寂しそうな付け足しに、フーンと興味なさげなゲスの勘ぐりをする彼の口からは返された。

 その理由は己の礼服にボタンをつける動きが、そんな面倒くさい事を何故かやめないことが気になって仕方ないから。


 もうお前と俺の縁は完全に切れたんだ……そんな行為する必要ないだろ。と点数稼ぎもゴマすりにも疲れた彼は一年後、イビルディア帝国に帰った瞬間、叔母が最初に持ってくるであろう縁談……その運命を受けいれようとすらしていた。

 もう自分には恋愛をする能力が欠落していると感じた故。

 だからこそ自分の礼服に手を伸ばす、そのくらいは仕立て屋にでも持っていけば済むことだ。と言わんばかりに。

 それは幼馴染に、初恋相手にたいする最後の良心、面倒な事はしなくていいと。

「待って、本当にボタンをつけ終わるまで待って!これだけは好きでやっている事だから。」

 人の心は見えないが、不思議と誠意は通じるものである。

 事実礼服の持ち主は、発言元の近くに腰をおろし、ただひたすらに裁縫作業を見ている。

 点数稼ぎ……はあんまりにも酷い事を言ったな。とアッシュに思わす程、久遠の動きには慣れがあった。

 ミシンというモノが地層から発掘された時から……軽視される技術。

 効率、効率。と口にしながらも手作業というモノに付加価値を感じるは人間の面白さ。

 どんなに努力しようと、取り繕おうと過去を変える事は叶わない。

 切られた赤い糸をどんなにつなげようと、ブサイクな結び目を消すことはできないのだから。

 

 だが!だからといって開き直ったり、諦めたりする人間が美しいはずも無く。

 二度惚れさせられた異性を手放す愚行は許されざる。とアッシュ・アスモデウスという仮面を外した空閑天満は素直に、己の一途さに殉じる覚悟を決めた。

「なぁ、久遠さっきは本当に悪口を言い過ぎたよ。そんなに裁縫が好きなら……やって欲しい仕事があるんだけど。期限一年で将官服を頼めるかい?論功行賞に着るための、何なら使い回すから一着あればいいんだ。報酬は俺が払えるモノなら何でもいいよ。さっきの償いという意味もあるからガツンと言ってくれ。」

 どんな汚らわしい理由があろうと、後ろめたい訳があろうと……必要とされた以上積上げた技術と失った時間に敬意が払われるほどに、一度の失敗や失態で逃すにはこの良縁は余りに惜しく。

「それなら別にタダでいいよ。その程度の悪口はもっと酷い事をしたのは私だし気にしないで、報酬は今までの仕送りへの感謝としてじゃ釣り合わないし……待って採寸とかでいちいちここまで来たくないから、ここに一年住まわせるのが報酬代わりと言う事で、ほら技術料代わりだと思えば安いと思うし、料理洗濯とか私に任せれば型稽古とかの時間もたくさんとれるし……うん?将官服!それは妻か彼女に作ってもらいなさい。」


 覆水は盆に返らない。が、初恋の人が水を汲み盆に注ごうとする行動を見せた以上……いつまでもネチネチ。と言う方が失礼だと考えた彼の秘めたる思いは、関係を諦めた久遠には届かなかったようだ。

 だからこそ、弱かった後悔があるからこそ雄々しく距離を詰めに行く。

「はぁここに住むのは報酬にならないし、何よりも技術や経験は安売りするもんじゃないからな……報酬と償いは俺が所有する財産とアスモデウス領全部じゃ駄目か?これ以上はどうやっても空閑天満には出せないぞ。……あぁもう可愛い顔でキョトンとして!俺が戦場で死ぬか、畳の上で死ぬ日まで妻として支えてください。始めて会ったときから好きです。本当に、本当にお願いします。」

 だからこそ、己の持つ時間も利権も全てを差し出し、二度惚れた相手に頭を下げてプロポーズした。

 急に初期案が蘇り、上手く行った事もあってか久遠はフリーズ、する事なく手を動かす。

 いやまぁ、何事も急激に上手くいくと困惑するのが人間。

 だが一時の感情で飲まれるような女が、養子に領地を任せる日まで管理などできようがないのだから。

 礼服の袖にボタンは完全にとまり、沈黙の時間は終わる。

 私に労働をさせない事、人前に顔を出させない事。の二つが条件として提示されるだけで無く、それと家庭の事は任せて欲しい。と代価もキッチリと提示された。

 当然即座にソレら全ては快諾され、二人の手が嬉しそうに重なる。


 何だかんだを乗り越えて結ばれた二人は、隣あって縁側に腰をおろす。

「まさか、俺はこんな結果になるとは思わなかった。何ていうか長い間会わなかったかいはあったよ。さっきは何よりも本当に綺麗だった。風呂って一人で入るもんじゃないな。」

「えっ?私は最初からこの展開を狙ってたけど。まさか……天満との間に子供が欲しくなるとは思わなかったけど。本当どうやったらそんな身体作れるの?」

 湯上がりの夫婦は、洗濯物を眺めながら酒をゆっくりと飲む。

 長い、長い妄執の日々が現実になった事もあり、雄は笑顔のままソレをゆっくり味わう。

 そんな夫から、真実の愛っていうものを確かめたい。と言われた久遠は崩壊した顔面を風に晒している。

「明日からの家事と論功行賞で着る将官服……これからの私に期待してね。妻に選んだ事を絶対に損はさせないから。常に改善して最善を目指すから。」

 コンプレックスや引け目を受け入れてくる相手に、それも間違った過去すら受け入れられてもらった彼女は……できる事をやり続ける人生を選んだ。

 少しでも真っ黒な過去が、今の努力と行動で白に近づく事を願って。

 


 

 エピローグとしてさしこまれるのは人生の終わり。

 厄災の時代。

 ここで、この時復讐鬼は散るのが史実。

 あぁ良かった援軍が来たって事は、モードレッド君は逃げ切れたかな。と嬉しそうに笑う彼は……部下とともに全てを出し尽くしていた。

 事実アスモデウス隊は玉砕と史に刻まれる。

 混血故に冷遇された彼らは、この瞬間紛れもなくイビルディア帝国の……否世界の礎となった。

 まだ一つ動きを止めない影。

 揺れる将官服に施された装飾の数々は、一度でも裁縫をしたなら分かる愛の証明。

 惚れた女が生きる場所に、もはや自分がいる必要は無い。と男は悟りの境地。

 援軍の連中が見るは、死を目前にしたアッシュが最後の瞬間まで、安らかな死に顔に囲まれ単独で運命に抗う姿。

 そんな圧倒的な不利たる状況、地獄を生み出す異世界からの来訪者達は、たった一人の登場によって逃走。

 史に妻への遺言を任された存在の名前が、刻まれなかった事もあり……アッシュの前には一角獣の被り物をした巨漢。

 過去を覗けない都合状捏造とは言われないが……とある事情で突っ立ている演技をせざるえないのは麒麟児。

 

 御武運を。と真新しい将官服で送り出してもらう……愛する人に送り出される日々。

 おかえりなさい。と好みに合わせて作られた食事で迎え入れられる……惚れた女のもとに帰り着く日々。

 その全てが今終わる……なんてアッシュは許せない!

 死ぬ前に愛する人を、惚れた女を!弱者から解放せねばならないのだから。

 過去に対する復讐はまだ終わってないのだから……

「俺の妻に伝えてくれないか?別の男と結ばれて子供を授かってくれ。と……若い大切な期間俺に浪費させてすまなかった。だから本当に強くて優秀な男と結ばれて久遠の願いを叶えて欲しいと。」

 彼はどんなに強くなっても……自信をもてなかった。

 そんな弱者たる人生に久遠をつきあわせた……自分自身に復讐をしなければ!手にかけた連中を心からわらえないと!!!

 誇り高き帝国少将の気などしらないせいか、いい人生だったか?の言葉……不幸より幸福が勝る幸せなモノだった。と、過去の後悔を覆すために生きた復讐鬼は歯を食いしばり、意地と誇りの領域へ。

 敵の姿は無いが武人の死に方は、望む姿は一つだけ。

 どうせ畳の上で死ねないのなら……前のめりに死んでやると。

 ありがとう久遠楽しい時間だったよ。と瞬間一つの願いが叶った。

 微笑む余裕すら無く復讐鬼の物語はここで終わる。

「そうですか。最期までてん……失礼あの人は過去に囚われていたんですね。えぇ私の全てをかけて証明します。夫が間違っていた事を。」

 そして覆水を盆に返そうとし続けた女が、再婚をする事は無く養子に夫の姓を継がせた後。

 アッシュ・アスモデウス最後の地を訪れ、天満これ以上は私に出せないよ。と口にし、自害した事が語られ暗転。

 真っ白とは決して言えないが、それでも真っ黒とは口が裂けても言えない二人の関係は……後世にマイナー故なかなか広まらない。

 それでも過去という壁に挑戦し続けた事実は、治世まで持って行かれた。




 物語は終わった事もありインタビューが始まった。

 やれ急に出番が無くなった。だのヒロインの登場が遅……苦情の瞬間は現世に鬱屈した思いを持つ存在が映像を終わらせる。

 そもそもこんな内輪ネタの何が面白いんだ?と口にしながら、借りてきた次の作品に目を向けた。

 それはたった一回コッキリの武勇伝で神話になった男の前日譚。

 すなわち女神に選ばれ、数多の姓を己の血で染めた麒麟児の歴史。

 現世は暴力を軸に廻り続ける。

 時系列は当然厄災より遥かに前。

 

 

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灰色の久遠 ふわポコ太郎 @yuusho

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