期待を超えれない

Togacchi

第1話私の過去(小学生編)

 あれは小学生5年生のころだ。私は、身長は高かったものの、誰から見てもわかるデブだった。そこで、やせる目的で体を動かすために陸上クラブに通い始めた。走るのは遅かったし、跳ぶのが得意だったわけではない。週に2回程度の活動で自分にはちょうど良かった。ある日、クラブでジャベリックスローボールというやり投げに似たものを投げた。プューーン!っと空高々にそんな音が響いた。その時、そのボールが鳥のように美しく飛行しているように見えた。私はもっと飛ばしてあげたいと感じて、次第に投げることが好きになった。それから私はクラブで好きな種目をしていい時は毎回のようにジャベリックをした。とにかく楽しかった。私は大会に出てみたいと思い、親に相談して出てみることにした。初めての大会は小学生の地区大会だった。今までそんな大会はでたことがなかったから緊張で胸の鼓動が早く、隣の人に聞こえるぐらいの音がなっていた。でも、ジャベリックを握ったとき、空を見上げると初めて投げた時の綺麗な軌道を思い出して緊張よりも早く投げたいが強くなった。旗がおろされると同時に走り出した。ピューーーーーン!いい音が響き私は打ち出されたジャベリックを見続けていた。3本はあっという間に終わった。クラブで何度も投げ、自主練でお父さんと投げ合ったりしていたかいもあって5年生で3位になって、県大会に出ることができた。投げて綺麗な軌道を目で追うのが本当に楽しかった。その後は県大会に向けて何度も投げ続けた。そんなある日お父さんに初めて怒られた。お父さんは高校時代にやり投げをしていた。私のフォームが汚く、直せ!と言われた。それから一本一本投げるのが緊張感に加えて何か言われると思い恐れるようになってきた。そんな日々が続き、県大会当日は、緊張したがいい音を響かせ綺麗な軌道で飛ばしてあげようとだけ思い、走り出した。一本目で自己ベストを超えることができ、そのあとも落ち着いて投げることができ、二本目、三本目も記録を伸ばし続けた。そして、初めての県大会という大きな大会で7位に入賞することができた。自分としては満足だった。しかし、父は悔しそうで、来年は全国に行くぞ!と言われた。全国に行くには、県で1位になる必要がある。その時、自分は7位になれて嬉しくて行ってみたいと感じた。その日から、私は全国に行くためにジャベリックを投げるようになっていった。お父さんが休みの日にはほぼ毎日のように、競技場に投げに行っていた。県大会前よりさらに父は熱心になり何度も投げては、何度もこうじゃないと注意され、それが出来ない時はとても怒られた。だんだん、投げるのが楽しんでいたはずなのに、恐怖心を抱くようになっていた。

 そして迎えた6年生の地区大会では、一本目に今までお父さんに言われ続けたことを何度も何度も自分に言い聞かせ、考えて投げていた。旗が振られても、すぐには走り出せなかった。考えながらゆっくり走り出して、投げた。飛べー!と思い大きな声で叫んだ。そして、1位をとった。父は満足しているように頷いていた。県大会までの練習でうまく投げられていて、父はいつも笑顔でこれなら全国いけるぞ!といってきた。そして、県大会の3日前になるとけが防止や力を蓄えるためにちちからはあまり投げずにいた。そして迎えた県大会、とても緊張した周りを見るとみんな強そうで怖かった。勝てるかが不安だった。勝つことしか考えてなかった。そして、私は一本目を投げ始めようと走り出した。旗が振り降ろされた直後考えがまとまらない前に行き、頭の中がぐちゃぐちゃでわかんなくなった。気づいたら白い線を越えてファールしていた。頭の中が真っ白になった。今までファールなんかしたことがなく自信がいっきになくなった。父の顔を見ることができなかった。私は、そのまま二本目、三本目に向かったが、ファールを恐れてちぢこまってしまい投げてもいい軌道にもならず飛べない鳥のように苦しそうだった。試合終了の旗が振られた。入賞すらできなかった。父がはぁーとため息をしていて、顔を見ることができなかった。父は気にするなとは言っていたが、残念そうだった。一人で泣いていた。陸上が嫌いになって泣いたのか、父の期待を踏みにじったため泣いたのか全くわからなかった。こうして、父の期待していた全国に行けず小学生の陸上は終わっていった。この時の私は陸上を心から楽しめていたのかは全くわからなかった。しかし、初めて投げたころの楽しさはなくなっていたのは確かだった。


*追記私は、中学校、高校でも部活で父の期待を応えるべく全国にむけて陸上をやっていった。続きもぜひ読んでほしいです。

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