第4話 「緑の奇跡」

「なるほどなあ、邪神の残滓か」


グリーンマンはにやにやと笑いながらまわりをみる。


「旧世代の勇者が滅ぼした邪神の呪いの残滓、消せなかった瘴気か」


面白いと呟くと一つの黄緑の種を取り出す。


「浄化の種、かつて天界にあったとされる希少種だ、まあ俺の場合は友人と一緒に栽培しているがね」


アジャルは首をかしげてグリーンマンに問いかける。


「なぜそれを?」


「見たところ、この地域は森林も絶滅して砂漠化が進んでいると見える」


「そうだな」


「そして俺は気まぐれだ」


「何が言いたい?」


「なんとなくこの地龍の親子をみてこの地域の人間も幸せになれば共存はできるとみた」


グリーンマンはにこやかに微笑むと種を放り投げる。


「緑の御業を見よ、我が身に宿る緑の奇跡を「豊穣の実り」」


そうつぶやくと同時に砂漠の世界に色とりどりの花と森林が生まれた。



「・・奇跡か?」


「さあな、少なくとも現実だよ」


グリーンマンは地龍をなでると同時に


「どこにいくんだ?」


「俺は旅人だからな、気の向くままどこかにいくよ」


グリーンマンはそういうと同時に姿を消した


「緑の聖者・・グリーンマン、これは皆に伝えなければ」


アジャルはそうつぶやくと地龍の頭をさげてその場を後にした。




「邪神の残滓消してきたぞ」


とある穏やかな農場の入り口に現れたグリーンマンは目の前の穏やかそうな麦わら帽子に青いつなぎをきた老人に声をかける。


長身痩躯で昔は美青年と呼んでも差しさわりのなさそうな老成した男がにこやかに迎える。


「悪いな、グリーンマン、俺がいければよかったんだがなあ」


「無理すんなって、不死ではあるが不老ではないだろう、のんびり余生を暮らせよ」


グリーンマンはふふと笑うと同時に黒い細い葉巻をくわえ火をつける。


「ここ禁煙だぞ」


「一本くらい許せよ」



そういうと同時に煙をはくと


「さて、初代勇者であるあんたの依頼は完遂した、次は?」


「そうだなあ、創成の女神からの神託も来てないし、自由でいいんじゃないか?そもそも隠居した勇者である私と自由の君には何もないだろう」


肩を竦めて初代勇者の男とグリーンマンは笑いあった。


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緑の聖者は砂礫の大地に実りを与える シンゴペンギン🐧 @ganjisu14

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