第6話
「いや絶対に可愛いってその女子、直接会って拝みたい!何なら告りたい!」
「分かったって、その噂が本当なら俺も一回くらい会ってみたいな」
さっき桜さんが言っていた常連サボり客の会話が遠くの席にいても聞こえてくる。俺は一瞬、このサボり客の方をチラリと見て、俺達と同い年くらいの学生であることが彼らの着ている制服から容易に確認する事ができた。この二人組の内、一人が坊主頭でずっとテンションが高く興奮しながらその女子のことを話し続けており、もう一人はそれに比べると落ち着いた雰囲気で坊主頭の話を聞いていた。
「で、一回その女子を見たことあるっていう、お前の友達から聞いた顔やらスタイルやらの情報はどこまで信憑性あるの?」
「絶対本当だって、その友達も初めて見た時興奮しまくりだったみたいだし、その晩その子の事考えてやることやったらしい!で、顔はグラビアアイドルの○○似で、スタイルもとにかく良くて、胸も尻も結構デカいらしい!」
「お前の友達すごいな、てか普通に引くわ」
「会ってみたいよなそんな女子、ウチの高校にもそういうのいたらいいんだけどな!」
「まあ、今日もいつも通り空振りか、これ飲んだらカラオケでも行こうぜ」
「そうだな!また明日も張り込むぞ!」
坊主頭ともう一人は、そう言ってグストから意気揚々と出て行った。
「もし、噂通りならよほど可愛くてエロい子らしいな、俺も早く会いたいよ千里」
「まあな、でもさっきのあいつらみたいにほとんど毎日この店に通っても、遭遇する確率が相当低いみたいだから別の会う方法を考えた方が現実的かもな」
「んー、例えば?」
「彼女の通う王林高校に突撃してみるとか??」
「ははは、超大胆だなそれ、絶対問題になるって」
「冗談だよ、冗談」
俺達二人の会話も、さっきの二人組に負けず劣らず店内に響いていた。
「ところで千里、この店いつまでいる?」
「そうだな、新しい話が聞けて新鮮だったし、そろそろ会計済まして出るか」
「じゃあ、いつものアレやりますか」
そういって、志童はニコニコしながら俺を見てきた。
ラブコメに神様がいないなら、俺がなれる気がしてきた。 T村 @poison116
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