歌い手のお話

俺の性格

俺は昔から飽きっぽい。

初めてのことには人よりも期待して興奮して、感動する。

だけど何の変哲もない日常を過ごしていると、

先のことが見えてしまって面白くないんだ。

友達と話すのは楽しいし、学校で新しいことを習うのは面白い。でも似たようなことが毎日繰り返される。それにだんだん飽きてくる。

俺は人よりも器用だと思う。

だから新しく何かを初めても、

すぐにできるようになる。

もっと努力して続ければいいのかもしれない。

だけど

俺はこれまでやってきたことをこれ以上続けたいと思ったことがないんだ。

だから毎日が嫌になる。

繰り返す同じような日々。

心は素直だから新しい生活に毎度興奮する。

でも頭の片隅ではわかっている。

きっと今回もすぐに飽きてしまうのだろうと。

だからいっそのこと期待なんてしたくない。

なのに。

これほど期待するから、

飽きた時心に刺さる傷も深くなる。

だから新しいことをするのを最低限にしようって、

できるだけ毎日規則的に生活しようって。

そんなふうに思った時期もあった。

でも無理なんだ。

同じような毎日が繰り返されると

自分の存在意義を問いたくなる。

何のために俺は生きてるのかなって。

どうして毎日生きていないといけないのだろうか。

どうせ自分がいなくなったところで何も変わらないんじゃないか。

だったらもうこの世界から逃げ出しちゃダメなのかなって。

だから俺はどれほど心に傷を負ったとしても

進み続ける。