カクヨムネクスト 書き手 ?

春眼 兎吉(はるまなこ ピョンきち)

カクヨムネクスト 書き手 ?

兎(春眼兎吉)と亀(雨実和兎)、カクヨムに投稿しているアマチュア作家同士のバカ話より


兎:「カクヨムがネクストになったみたい。実際、俺らに恩恵ってあるのかな?」


亀:「そうだなぁ……(日刊ランキングを見ている亀)……5位の後、25位の後、45位の後……20位ごとにカクヨムネクストの作家の宣伝が入ってくるみたいだ」


兎:「どれどれ……あきらかに書籍化している大御所作家もいるけど……☆90って俺と同じゃん!」


亀:「そうだなぁ。ということはカクヨムネクストに入ればここに自分の作品を差し込めるようになっているんだろうなぁ……ページ更新の度にガラリと入れ替わっているみたいだし、回転率も高そうだ」


兎:「そういえばさっきの☆90の宣伝は5位のあとだった……完全ランダムじゃんっ!!それじゃあ、あわよくば日刊5位の次に自分の作品が表示されるということも……」


亀:「あぁ、ありえなくはないだろう。加えて回転率が高ければチャンスも増える」


兎:「…………ゴクリ……この仕組みを考えたヤツは天才じゃあ、なかろうか?」


亀:「いいや、悪魔だな。この仕組みはお金を払ってズルするに近いグレーさがある」


兎:「アメリカでは大学とかの面接試験の必勝法が高値で取引されるビジネスモデルが定着化してるけど、それと似たようんはもんか」


亀:「無きにしも遠からず。だが、それ以上に……この仕組みが招く未来の方がやばそうなんだよ」


兎:「どんな未来だよ?」


亀:「まぁまず僕たちみたいに『完結して死蔵している』作品を持っている書き手にとっては渡りに船の仕組みになる。この件だけはカクヨムの唯一のウイークポイントだったから、それが無くなるどころか一気にアドバンテージになるんだから『発明』だよ。だがこの仕組みのスゴさはそれに留まらない。こんな夢のような仕組みを書き手は逃すか?」


兎:「今はほぼ全く書けていないけど、完結して死蔵してる作品はお気に入りだから、いろんな人に見てほしいしそれが可能なら夢を見るための月額千円なんてぜんぜん出せる!」


亀:「結果、かなりのカクヨム登録作家がカクヨムネクストに移るだろう。しかも見た感じ何話まで無料はできるが完全無料作品はなさそうだった。……そうなれば、どうなると思う?」


兎:「真面目?にランキングを稼ごうと努力している作家との対立があるだろうな。今年のカクヨムコンは荒れそう……」


亀:「違う、問題はそこじゃない!読み手だよ、読み手!カクヨム作家がどんどん有料作家に変わっていったら読み手はほとんど無料で小説を読めなくなるんだぞっ!」


兎:「うわっ、えっぐ!!ほとんど脅しじゃん。悪魔ってのはたしかにそうかも」


亀:「読み手はカクヨムネクストに登録せざるを得ない状況になるだろう。だがその真におそろしいところは、皆がはっきりと気付かない中、ゆっくりとだが確実に進行していくことになる……おそらく早くても3年、遅ければ10年はかかりそうだが」


兎:「これでいよいよカクヨム1強時代の到来だな」


亀:「いいや、ネット小説の読み手は無料にこだわる人も多い。その受け皿になるのは?」


兎:「あっ!?、なろう」


亀:「そう、それでなろうにごっそりと読み手が流れ、過疎化する未来も可能性としては十二分にありえる」


兎:「なんかサ終前のソシャゲみたいになってるんスけど?」


亀:「いや、それでも君みたいに夢をあきらめきれない書き手はカクヨムネクストを辞めるつもりはないだろうし、それらの月額でゆるゆると生き延び続けるさ」


兎:「未来は明るくない……か」


亀:「ちがうちがうそうじゃない。さっき見た未来は来たとしてもすぐにはやってこない。しかも今は黎明期だ!いまのうちに広告掲載効果でできるだけおいしい思いができるだろうし、波に乗るならだ!」


兎:「おうっ!じゃあ早速、登録かますぜ」


亀:「待て!まずはネットで調べてみろ。そこは慎重にいくべきだ」


兎:「おうおう『カクヨムネクスト 投稿 掲載方法』『カクヨムネクスト PV』『カクヨムネクスト 小説 登録』…………なんも情報、出てこねぇぞ?!」


亀:「ちゃんと調べたのか?2ちゃんも見たのか?」


兎:「つーか、ぜんぶ読み手の感想しかねぇんだよ」


亀:「とんだ情弱だ、使えないな」


兎:「ひどいっ!!」


亀:「こっちでも調べてみるか……うーんたしかにこれはなんでもおかしいな……公式にも書き手に対するアドバンテージ的な情報は確認できないし、わざと隠す必要も無いししてはだめだろうし……『現役編集者とカクヨムが一丸となり……太鼓判を押す作品のみを集めた』……あっ、これ完全に向こうが選んだ作品しか掲載されないパターンだわ!」


兎:「まじかぁぁぁーーー!!!………………はぁ、せっかく今回之施策カクヨムネクスト技術的特異点シンギュラリティポイント分岐・・点になると感動さえ覚えたのに……結局、某総理のような期待感の欠片も無いお役所仕事な小さくまとまった愚策だったかぁ……最初にめっちゃ感動しただけにショックがでかいわ」


亀:「まぁ、向こうの気持ちを分からんでもない。既存の書籍化作家を守りたいかつきっちり再利用したい思惑なのだろう……それに」


兎:「俺たちの妄想どおりの世界線なら作家同士の争いの絶えない地獄になっていたわな」


亀:「ちがいない……だが、ともかく」


兎:「あぁ」


亀+兎「「夢も希望もねぇ」」



     ―了―

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