なまたまご

okirakuyaho

なまたまごと私

ゆでたまごが卵に戻らないような、不可逆的な恋だった。


一目惚れだった。彼はひまわりのように明るく、空の透明さのように純粋だった。私は彼に夢中だった。


「今日はどこに行く?」

「きれいだね、僕のためのプリンセス」


彼は私に自信を与えてくれた。仕事に追われる毎日の中で、彼と過ごす時間が唯一の癒しだった。


彼と出会う前の私は、生きる屍のようだった。まるでコンポストの中にある生ごみと等しかった。

彼と一緒にいるとそれだけで元気が湧いてきた。


スーパーで食材を見ながら彼と食べる夕飯の献立を考えたり、疲労している彼のために、一度も行ったことのないケーキ屋に足を運んだり。

毎日が幸せだった。彼がいない未来を考えるだけで不安になるくらいに。


私は考えた。

どうしたらもっと彼との時間を共有できるのか。どうしたら自分の体が彼と同じになるくらいに愛することができるのか。


「最近お腹が痛いのなまたまご、これって風邪かな」

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