3話・被害者について
被害者について
都内の◯◯中学校で起きた殺人事件について。
学校関係者は被害者・小江あかりさんと加害者の弟・朔也くんは仲の良い友達同士だったと証言している。
「あかりちゃんの事件、むごい事件でしたね。私も娘が同じ学校に通っていました、学校に不審者が出たので迎えにきてくれと保護者ラインでその日は知らせを受けてすぐに迎えに行きましたよ。
結構大きな学校ですから通りは大渋滞で、敷地内の駐車場とグラウンド近くのコンビニと薬局、あと少し離れたスーパーも、は車が埋まっていたので駅前の駐車場に停めて歩いて行きました。
事件が事件ですから、校門前報道陣や救急車、パトカーが何台も停まっていて保護者だと証明するものがなければ学校内に入れなかったので、校舎入口で先生が身分証明書を確認していました。それもまた長者の列で…結局娘と再会できたのは午後7時を回った頃でした。早かった方だと思います。同じクラスの女子は家に帰るのが9時台になったと言っていました。保護者が迎えにこれない集団下校組のほうが早く家に帰れたと思います。」
僕が独自行った取材に対し、同級生の母親はそう語った。
「あかりちゃんは恨みを買いやすいとは思っていましたが、正直ここまでとは…」
小江あかりさんという女子生徒は、その近辺では知らないものはいない横暴な少女だったという。
駅から10分県内のマンションの1階を二部屋借りて暮らしていた。
あかりさんのご家庭は「叱らない」教育方針で、物心付く前から両親は彼女を言い分を決して否定せず肯定し、彼女が欲しがるものは何でも買い与えた。
家は裕福で金に困った様子はなく、両親ともに働かず常に彼女の傍に付き添い親というよりは従者のように彼女を”しろ姫様”と呼び彼女に付き従っていたという。
正しい常識は教えず、人に謝る事も教えず、しろ姫は神の御使い、この世の至上のものと教えられそれを信じ込んだ彼女は、小学校を上がる頃には手のつけられない悪童に育っていた。
人のものを平然と盗み、息をするように嘘を付き、気に食わなければ人を殴り、自分の思う通りにいかなければ癇癪を起こして暴れまわり、年上を敬わず年下をいじめ抜いた。
同級生を恐怖と暴力を持って支配し、従わぬものはありったけの悪意と両親の金の力を持って排除し続けた。
いつもフリルがいっぱいついたパツンパツンのピンク色のゴテゴテなお姫様のようなドレスに身を包み、風呂には入らずギトギトの髪を二つ結びの三つ編みにし欲しいものを食べるだけ食べていた彼女はまるで豚のようにぶくぶくと肥えて、お気に入りのぼろぼろになった兎のぬいぐるみを抱いて我が物顔で学校や近所を跋扈する姿は現代の妖怪のようであったという。
彼女によって怪我を負わされた生徒は山のようにいたが、みな両親が出す慰謝料の桁違いの振込に黙りこんだ。
受け取らなければ今度は両親の手によって迷惑行為が行われた。
「うちのしろ姫に余計なことをするな」怒鳴り込んで幅性を浴びせ玄関にゴミを巻きちらしドアと窓ガラスを鉄パイプとバットで破壊しあること無いこと書いたビラを近隣と学校、会社に押しかけてばらまいた。
何軒もの家族が引っ越していった。
通報されても警察は真面目に何度も注意し取り締まろうと努力したが、なぜか逮捕することは出来なかった。おおきな圧力がかかっていたと噂では聞いている。
なぜか両親ではなく大家と弁護士が「あと数年です、こらえて下さい」と住民に頭を下げて回っていた。
彼らの周囲を黙らせた圧力とその資金源は一体どこから排出していたのだろう。
噂では某旧家大林家と親戚筋に当たるとのことだが葬儀にも顔を出していなかったので真意は不明である。
彼女の癇癪でクラスはまともに機能しなくなり、友達などできるはずもなく、教師や養護職員すらも見放し彼女に誰も関わろうとしなかった。
ただ、一人だけ、彼女と積極的に交流する少年がいた。
加害者の村上くんの弟の朔也くんである。
朔也くんは小江一家の隣の部屋で両親は共働きで、年の離れた兄…犯人と暮らしていた。
村上くんは見た目だけなら物静かな若者で当時から誰に対しても優しい好青年であったので、怪獣のようなあかりさんも村上くんの前ではしおらしくしていたという目撃証言もある。
朔也くんは隣の家ということもあって学校でもあかりさんの世話係のような当番に当てられていたそうだ。
朔也くん本人の心情は知らないが、それを嫌がる素振りは一切見せなかったらしい。
むしろ誰もが嫌がって近寄りもしなかったあかりさんを、朔也くんだけは見捨てなかった。
朔也くんは彼女の無理難題に頑として従わなかった。
駄目なことは駄目だ、大声で喚いてはいけない、人を殴ってはいけない、授業を邪魔してはいけない、手を洗うこと、挨拶をすること、人には親切にしなければならない、我慢しないといけない時がある等。
ごく当たり前の常識を彼女の傍で説き続けた。
殴られても蹴られても朔也くんは己の行動をやめなかった。見かねた両親に咎められても、一軒家に引っ越しても、学区が変わって転校しても、毎日のようにあかりさんに会いにいき正しさとはなにかを説いた。
朔也くんの行動をあかりさんの両親は放置していた。むしろ、朔也くんは娘の奴隷だとでも思っていたのだろうか、朔也くんの来訪を両親はとても歓迎していた。
あかりさんが朔也くんではなく朔也くんを迎えに来る村上くんに会いたがっていたので、その口実に使われただけかもしれない。
毎日朔也くんが口やかましく付き添い始めるに連れ、少しずつあかりさんの中に変化が生まれた。
まず人に挨拶をするようになった。
人の目を見て話すようになった。次に人を殴らなくなった。暴言の数も減り授業をまともに受けるようになっていた。
あかりさんの中で善悪の区別が生まれたのだ。この世は思い通りにはならないと理解し始めた。
人に謝る事ができるようになった。癇癪を起こす癖は治らなかったものの、その回数はぐっと減った。
あかりさんの変化に周りの大人たちはみな一様に驚きを隠せなかった。
あかりさんの地頭はとても賢かったようで、それまで字すらまともに読もうとしなかった彼女の成績は一気に伸び学年で10位に入るほど優秀な成績を残すようになった。
やがて彼女は自らの醜悪さを理解した。
最初は自分自身に激しく絶望し1,2ヶ月ほど自室から出ない日が続いたが、朔也くんが毎日訪れてはプリントを手渡し一緒に勉強を続けたことで、朔也くんと一緒ならと再び外に出るようになった。
あかりさんの両親に懇願される形で、朔也くんは5年生からもとの学区に戻った。
あかりさんはダイエットを始めみるみる痩せていった。毎日風呂に入るようになり化粧品や洋服は好きなものを好きなだけ買い与えられていたので中学に上がる頃にはずいぶん垢抜けていたそうだ。
あかりさんの両親は彼女の劇的な変化を良しとせず「なんてことをするんだ!」「姫に余計なことをするな!」と朔也君のご一過ではなく学校に怒鳴り込んできた。
そのころにはあかりさんが自らの罪を反省し更生していく姿をクラスメイトや教員が見守っていたので酷く呆れて言葉が出なかったという。
そんな両親に「お母さんとお父さんは私が何をやっても叱らない!私を愛していないんだ!!」と泣いた。
声を上げて泣く彼女を朔也くんが寄り添い慰めた。
その日からあかりさんは両親に反発し始めた。
毒親だと罵り家に帰らなくなった。
行政が正しく機能してくれなかったこともあり新興宗教が運営するシェルターに逃げ込みそこから通学を始め、朔也くんの家に泊まることは減った。
家に帰らない娘を彼女の両親は心配しなかった。
好きにさせていた。ただ、どこに行ったこれからどこに行くのか、行動を完全に把握していて、その都度移動先に連絡を入れて余計なことはするなと脅していた。
そんな両親にさらに反発した。
今まで散々非行めいた事をしていた反動か、勉学に励み身だしなみに一層気をつけた。学校行事に積極的に参加し、困ってる人を見かけてはそれを助けた。清掃や地域ボランティアに精を出し世のため人の為に尽くした。
自らもそうしたように人に助けを求めるようになり、虐待を受けているので保護してほしい旨を市役所や警察に訴えた。
中学に上がる頃には、あのピンクフリルの化け物と同一人物だったとは思えない程、見違えていた。
もちろん過去に酷いいじめを受け許せない者もいた。
だが皆あの家に関わるのを恐れて、報復を実行できる者はいなかったそうだ。
胸糞が悪い、そんな薄っぺらい謝罪と更生で赦されようなんて所詮はいじめっこだなと喉から出かけた言葉を飲み込んで続きに耳を傾けた。
更生していく彼女とは逆に、朔也くんは体調を崩すようになた。
体の不調を訴え食欲をなくし1日中激しい頭痛で身動きが取れなくなり貧血で一日に何度も倒れるようになった。
時折なにもないところを指さしては化け物がいると訴え、誰もいない場所に延々と話しかけ、授業中に度々パニックを起こした。
家に帰ってジュースが飲みたいと床をのたうち回り、授業中にクラスメイトに「化け物がいる。逃げてくれお願いだ」と懇願した。
外出を恐れ家に帰りたがった。自宅でも村上くんが傍にいないと手が付けられない程暴れることもしばしばあった。
顔は痩せこけ目は充血してギラギラし髪は抜け落ちまるで絵巻物の餓鬼のような風貌へと変わっていて見えない何かと1日中格闘していた。
学校へも休みがちになり1日中布団の中で見えない何かに怯えるようになった。
そんな朔也くんに、あかりさんは心から心配した。
今まで支えてくれた。化け物から人間へ替えてくれた朔也くんはあかりさんの命にも代えがたい親友だった。
そして、自分がされたことをその朔也くんにまま返し始めた。
朔也くんの幻覚の、全て否定した。
あんなものはいない、そこには何もいない、君が見えているものは全てまやかしだ。
授業の邪魔をしてはいけない。怯えてはいけない。
大丈夫だから。何もいないから。
家に毎日通い、プリントを届け、朔也くんが見ている全てを否定した。
大丈夫大丈夫と言い続け宿題を手伝いながら怯える朔也くんに優しく言い聞かせ続けた。
そして今度はあかりさんが朔也くんを引きずるように学校に連れて行った。
あかりさんはあくまで親切と心配で朔也くんを想っての行動であった。自分が真人間になるために朔也くんからされた事を一つ一つやり返した。
教師や友達にやりすぎだと咎められてもあかりさんは朔也くんを否定することをやめなかった。
幻覚を否定された朔也くんの症状はどんどん悪化していった。
あかりさんはそこに一切の悪意はなく、それが朔也くんを救う最善の方法だと信じていたのである。
朔也くんはあかりさんの言葉に安堵しながらも「僕は狂っていない」と「君が危ない」「狙われている」と訴えたそうだが、あかりさんは一ずつそれを否定した。
「娘の話では…その日村上くんの調子は安定していました。」
朔也くんの様子がおかしくなってもあかりさんと朔也くんは行動を共にしていて、朔也くんが登校した時はいつも二人で食事を一緒に取っていたそうだ。
場所は教室だったり保健室だったり屋上へ続く階段だったりと様々な場所だったそうだ。
だから、誰もあのような事件が起きるとは想像もしていなかった。
「娘は中学からあかりちゃんと一緒になったので、小学校の時のことは詳しく知りません。ただ、別学区の私の家の近所まで時折耳に入るほど有名な一家でした。あの家の人間には関わるな、というのはラインで回ってきました。―――――1回だけ、ご両親と話したことがあるんです。病院の待合室で隣りに座ってお互い中学になる娘がいることがわかりそれで…ごく、普通の人でした…マンションの住人を引っ越しさせるほど迷惑行為を行う人には見えなかった。娘が反抗期で困るわね、でもあと少しの我慢よね、と普通の親御さんとする当たり障りのない会話をして…後から顔見知りの看護師さんがこそっとあの人は◯◯マンションの小江さんだから気をつけた方が良いと教えてくれて、びっくりしました。もっと化け物みたいな見た目もどぎつい感じなのかなと想像していたので…黒く長い髪を一つにまとめて上品な佇まいのちょっと綺麗な…普通の母親。―――ああ、噂が尾ひれをついて出回っているんだなってその時は思いましたね。ただのいじめっ子とその家族をまるで妖怪みたいにみんな面白がって話してたんだと。その話を近所の人とよく話をしてたので、少し反省しました。」
でも、そう呟くと彼女は目を泳がせた。
「…あのお葬式で、わかりました。あの家は異常だった。本当に近づいてはいけない、関わってはいけない家だった。」
あかりさんのお葬式は親族、クラスの関係者のみで営われた。マスコミや事件を面白がって押しかけたYouTuberも会場には入れないように警備員が複数待機していた。
参列者の7割は遺族親族が主だった。親族の人数が多く限られた関係で営む式にしてはかなり規模が大きかった。
「神道式のお葬式でした。
神主さんがお教みたいなのをあげて、それと同じ内容の文章が書かれた紙を手渡されましたが意味は全くわかりませんでした。ウマなんとかという神さまに祈りを捧げて…お線香の代わりに木を捧げるんです。ああでも柏手が7,8回打つんでそこだけまるで拍手のようでした。それ以外普通だと思います。神道式のお葬儀に参列したの初めてでしたが、葬式自体は変わったところはなかったと思います。式自体は…」
深い信仰がなければおおよそ仏教式の葬儀が多いだろう地域で初めての神道式の葬儀に参列した保護者や生徒は彼女だけではなかったという。
それでも受付で渡されたパンフレットに大まかな流れと祝詞が書かれ司会の指示もあって式自体は中盤まで滞りなく進んだ。
「異様なのは、遺族の態度です。みんな、明るいんですよ。とにかく。」
まず葬儀の最初から盆で再会するような雰囲気でその悲惨な最期を悲しんでいるものが一人もいなかった。
親族は老若男女いたが、老人が多かったようで「次会う時は俺の葬式じゃ」とゲラゲラ笑う声が会場中に響いた。
大往生の老人の葬儀なともかく、殺人事件で殺された少女の葬儀である。
ご両親もまるで憑き物が落ちたような、何かをやり遂げたような誇らしい堂々とした態度で挨拶に来る親族に対応していた。
親族たちは「若いのにようやった。」「これでダイサクまで安泰じゃ」「ああよかった」とご両親に労う声をかけていた。
葬儀の間も最初は静かにしていたがコソコソと私語が聞こえるようになった。お経…ああ、祝詞っていうんですかだけは全員真面目に上げていたので会場中に響いて窓が音響でカタカタと揺れた。
「タマグシっていう木をあかりさんの仏前…神道なので別の言い方があるんでしょうけど存じなくてすみません。あかりさんの遺影に置くんですが、その時の態度が一番ひどかったですね。木をお供えする時は背筋をピンとして直角90度に腰を曲げて深々頭を垂れるのにそこにいたるまでお互い小突きあったり軽く笑い合ったり…その様子を見て遺族がくすくす笑うんですよ。」
いい加減にして下さい――
そう声を張り上げたのは、副担任の女教師だった。
副担任は癇癪に悩むあかりさんを特に気にかけていたそうだ。
どうすれば人に迷惑をかけないように静かに出来るのか、真剣に悩んでいたあかりさんに親身になって相談に応じていた。
体調を崩し休んだ朔也くんが教室にいない休み時間、あかりさんは職員室に行き昼食をともに摂ることも少なくなかったという。
「あかりちゃんが、どれだけ苦しんだか。
常識を知らなかった彼女がどれだけ苦労したか。
副担の先生は嗚咽をあげながらご両親に訴えかけました。
先生につられてるようにクラスメイトの女子が一人、また一人泣き始めました。うちの娘も涙を目にいっぱいにためて…ご両親はキョトンとした顔で先生を眺めていました。その様子に先生はあなた達は人でなしだ!と吐き捨ててしゃがみ込み声を出して泣き出しました。先生とクラスメイトの哀哭が会場に響いて…そうしたら遺族の一人が
「失敗しているじゃぁないか!」
と叫んだんです。なんのこと言ってるのか、未だにわかりません。
それを皮切りに親族たちが「失敗じゃ!」とか「どうするんだ」とか言って両親に詰めかけて…ご両親は大慌てでなだめようとしました。司会の人も立たないで下さいと声を上げました。でも父親に掴みかかった老人が「役立たずが!」と唾を吐きました。それに激怒した父親が「じゃあどうすればよかったんだ!」と声を張り上げました。「お前らは外で見ていただけじゃないか!金だけよこしやがって!」と老人に掴みかかり慌てて司会の人が止めに入って…
今度は突然、母親は糸が切れたように金切り声を上げて「私が!私が、、間違えた。ああ、しろ、しろ姫様ごめん、ごめんなさい」と半乱狂になって棺桶をこじ開けようとして…その姿を尻目に父親と親族たちは殴り合いですよ。酷い有り様でした。親族たちが殴り合っているのに、神主さんはその祝詞とやらをまた上げ始めたんです。怒声と嗚咽と椅子がバタバタと倒れる音と、あの抑揚に乏しい呪文みたいな祝詞と乱闘を祝っているかのような柏手と。――――――――異様ですよ。何が起こっているのかわからなくて、心底恐ろしかった。式場スタッフさんが私達親子と他の保護者と学校関係者を外に誘導しました。会場の外にいても中の乱闘の音が聞こえてきて…娘が不安がって気持ち悪いと言いだしたので会場を後にしました。」
式がその後どうなったのか、何人かが残って火葬場までついて行ったそうだが、そこでも何かの責任のなすりつけ合いで乱闘騒ぎを起こしたと噂で聞いた、と話した。
確かに、異様な葬式だ。
それまでは僕は村上くんの弟に同情し正直ちょっとスカッとしていたが、彼女の様子を見て少し被害者を憐れむ気持ちが生まれた。
「母親も泣き崩れましたが、あかりさんの死を悲しんでいると言うよりは、間違った死を与えてしまったことを謝ってるようでした。その姿を見ていたら、あかりちゃんが不憫で不憫で…うちの娘はショックで暫く食事が喉を通らなかった。あかりちゃんのお葬式を思い出してげえげえ上げるようになってしまった。栄養失調になりかけて病院で治療してもらい最近やっとお弁当が食べれるようになりました。そういったクラスメイトは他にも居たと聞いています。――――――あかりちゃんの事を詳しくは存じません。いじめられた子も引っ越しさせられた家族も沢山いたと知っています。でも、でもあんまりじゃあないですか。いじめられた被害者や、強制退去させられたマンションのご家族は、そりゃあ恨んで良いと思います。死に安堵していいと思います。ざまぁみろと、思ってもいいと、そう言っていた人も大勢いました。でもあの人達は親族じゃないですか。家族じゃないですか、家族が、あれだけ甘やかしてきた親が、あんな、晴れやかな顔で、卒業式に参列するかのように………ーーーーーーーーあれは…人でなしだ…。」
今日は有難うございましたと僕はインタビューを終えた。
数日後あかりさんのご両親が自宅で首を吊って自殺したと報道が流れた。
最期まで、犯人である村上くんに対して怒りをあらわにしたり、謝罪を求めることは一切なかったという。
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